『The White Album』 Sessions in '68 | Music and others

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DeluxSet(White-Album)01
 
CDの4,5,6枚目はシンプルに『Sessions』と云うタイトルで合計50曲にも及ぶので、全曲をきちんと繰り返して何度も聴くことは難しいです。 つまみ食いのようになりますが、興味深いトラックを取り上げたいと思います。
 
 
 
『The Beatles』 (‘White Album’) – 6CD+blu-ray super deluxe
CD 4: Sessions
 1.  Revolution I (Take 18)
 2.  A Beginning (Take 4) / Don’t Pass Me By (Take 7)
 3.  Blackbird (Take 28)
 4.  Everybody’s Got Something to Hide Except Me and My Monkey (Unnumbered rehearsal)
 5.  Good Night (Unnumbered rehearsal)
 6.  Good Night (Take 10 with a guitar part from Take 5)
 7.  Good Night (Take 22)
 8.  Ob-La-Di, Ob-La-Da (Take 3)
 9.  Revolution (Unnumbered rehearsal)
 10.  Revolution (Take 14 – Instrumental backing track)
 11.  Cry Baby Cry (Unnumbered rehearsal)
 12.  Helter Skelter (First version – Take 2)
 
 
この12曲の中では、1曲目の”Revolution I”が驚きのテイクだと言えます。 完成版の元になったテイクだと言われており、アヴァンギャルドな展開になる終盤にはヨーコの話し声が入っています。 そして、ジョンの力の抜けたへなへなヴォーカルが生々しく聴こえますし、奇声に近い「Alright」や「Right」が延々と続く展開はYokoの影響を受けてのことでしょうが、ちょっとだけ引きますね。 この辺りはカットされてしまいましたが、一部分が””Revolution 9”に使われているようですね。
□ The Beatles - Revolution I (Take 18)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
 
リンゴが歌うラストを飾っていた子守唄、”Good Night”が3テイク収められています。 中でも、Take 10 となっている6曲目は、リンゴのバックで3人がコーラスをつけており、ゴージャスなストリング入りの完成版よりも味があると感じます。
 
□ The Beatles - Good Night (Take 10 with a guitar part from Take 5)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
そして、13分近い長尺の”Helter Skelter (First version – Take 2)”が収められています。 よく知られている27分近いTake 3 ではなく、この Take 2 を選択した理由をジャイルズ・マーティン曰く、「2つのテイクは良く似ており、27分ものTake2は長すぎて喜ばれない。」と思ったとのことです。 その通りで、この17分のものも後半は単調なスローなブルーズが延々と続きますから・・・・。
 
 
 
CD 5: Sessions
 1.  Sexy Sadie (Take 3)
 2.  While My Guitar Gently Weeps (Acoustic version – Take 2)
 3.  Hey Jude (Take 1)
 4.  St. Louis Blues (Studio jam)
 5.  Not Guilty (Take 102)
 6.  Mother Nature’s Son (Take 15)
 7.  Yer Blues (Take 5 with guide vocal)
 8.  What’s the New Mary Jane (Take 1)
 9.  Rocky Raccoon (Take 8)
 10.  Back in the U.S.S.R. (Take 5 – Instrumental backing track)
 11.  Dear Prudence (Vocal, guitar & drums)
 12.  Let It Be (Unnumbered rehearsal)
 13.  While My Guitar Gently Weeps (Third version – Take 27)
 14.  (You’re so Square) Baby, I Don’t Care (Studio jam)
 15.  Helter Skelter (Second version – Take 17)
 16.  Glass Onion (Take 10)
 
5枚目のCDの16曲の中では、2曲目の”While My Guitar Gently Weeps (Acoustic version – Take 2)”がいいですね、詳しくは別のブログで触れますが、ハーモニウムをポールが弾いています。
 
そして、驚きの”Hey Jude (Take 1)”ですね、アコギとエレキギターとをバックに歌っていますが、終盤のリフレインを除けば、ほぼ完成していると云う感じです。  
□ The Beatles - Hey Jude (Take 1)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
 
 
それから、驚きのテイク数、102と言う数字が付いている”Not Guilty (Take 102)”でしょうか・・・・! ここまでテイクを重ねても納得がいかないって何なんでしょうか!
 
ガイド・ヴォーカルが入っている”Yer Blues (Take 5 with guide vocal)”は、完成版ではカットされたジョージのギター・ソロを聴くことができます。 また、歌詞が結構いい加減なところがあります。
 
そして、10曲目、”Back in the U.S.S.R. (Take 5 – Instrumental backing track)”は完成版の元になったインスト・テイクですが、キーが1音低くテンポも遅くなっています。 テープ速度を落としているのか真偽は不明です。
 
そして、70年6月にリリースされた”Let It Be (Unnumbered rehearsal)”の軽いジャムセッション版です。 すでにこの頃歌詞を除けば出来上がっていたようです、左チャンネルには行っているギターは何と!エリック・クラプトンです。 「Mother Mary comes to me・・・・」ではなくて「Brother Malcom comes to me」と歌っていますから。
□ The Beatles - Let It Be (Unnumbered rehearsal)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
 
 
13曲目の”While My Guitar Gently Weeps (Third version – Take 27)”は、エリック・クラプトンの弾くギターが別パターンのテイクですが、何処かミスがあって途中で終了してしまいます。 これに関しては、『”While My Guitar Gently Weeps” の真実』というブログを準備中ですので、そちらで詳しく・・・・・。
 
ビートルズ版ハード・ロックの”Helter Skelter (Second version – Take 17)”がテンポをあげたヴァージョンで演奏されています。
 
□ The Beatles - Helter Skelter (Second version – Take 17)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
 
 
CD 6: Sessions
 1.  I Will (Take 13)
 2.  Blue Moon (Studio jam)
 3.  I Will (Take 29)
 4.  Step Inside Love (Studio jam)
 5.  Los Paranoias (Studio jam)
 6.  Can You Take Me Back? (Take 1)
 7.  Birthday (Take 2 – Instrumental backing track)
 8.  Piggies (Take 12 – Instrumental backing track)
 9.  Happiness is a Warm Gun (Take 19)
 10.  Honey Pie (Instrumental backing track)
 11.  Savoy Truffle (Instrumental backing track)
 12.  Martha My Dear (Without brass and strings)
 13.  Long, Long, Long (Take 44)
 14.  I’m so tired (Take 7)
 15.  I’m so tired (Take 14)
 16.  The Continuing Story of Bungalow Bill (Take 2)
 17.  Why don’t we do it in the road? (Take 5)
 18.  Julia (Two rehearsals)
 19.  The Inner Light (Take 6 – Instrumental backing track)
 20.  Lady Madonna (Take 2 – Piano and drums)
 21.  Lady Madonna (Backing vocals from take 3)
 22.  Across the Universe (Take 6)
 
最後の3枚目ですが、全22曲最もヴァリエーション豊かな内容です。 まずは、1曲目”I Will (Take 13)”はほぼ完成形ですが、この曲何と67テイクもレコーディングを重ねているのです。 このテイクはポールのマウス・ベースがないテイクになります。
 
7&8曲目は共にバッキング・トラックになりますが、スタジオでの楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
 
9曲目のジョン作の不思議な世界観を描いた変拍子を使った”Happiness is a Warm Gun (Take 19)”、最終版では3つの曲のテイクを繋ぎ合わせたので、この初期の段階のテイクではよりストレートな印象を受けます。 ちょっと、ビーチボーイズ的なニュアンスが出ている気がします。
 
13曲目のジョージ作のワルツ、”Long, Long, Long (Take 44)”、呟く様なヴォーカルとリンゴの生々しいドラムスのコントラストが映える曲でしたが、こちらは別ヴァージョンでヴォーカルが通常のレベルで歌われており、聴きやすい仕上がりです。
□ The Beatles - Long, Long, Long (Take 44)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
 
続いては15曲目の”I’m so tired (Take 14)”、最終版ではコーラスはジョンとポールであるが、このテイクはポールとジョージがコーラスを付けていて新鮮味があります。
□ The Beatles - I’m so tired (Take 14)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
 
そして、インドのムンバイにて現地のミュージシャンを使ってレコーディングされた曲のバック・トラックである”The Inner Light (Take 6 – Instrumental backing track)”です。 ”Lady Madonna”のシングル・カットのカップリング曲として発表されています。
 
そのオリジナル・シングルのA面、1968年2月のインドへの”超越瞑想”のための旅行の直前に録られた楽曲のアーリー・テイク、”Lady Madonna (Take 2 – Piano and drums)”です。 ポールの弾くピアノとリンゴの叩くドラムスだけによるテイクですが、ブラス抜きでも十分に聴ける佳曲だと言えます。
 
□ The Beatles - Lady Madonna (Take 2 – Piano and drums)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 

 
最後の曲は”Across the Universe (Take 6)”ですが、この曲も上にある”Lady Madonna”とほぼ同時期にレコーディングがスタートしています。 ジョンのアコギ、ジョージによるタンブーラ、リンゴによるドラムスと言うシンプルな演奏ですが、女声コーラスやピアノ、ギターのオーヴァーダブがなくとも十二分に美しい曲だと思います。 後に、 鳥のさえずりが加えられたのは、「世界野生動物基金」のチャリティ・アルバムに目玉の作品として収録されたためであり、ジョンが望んだものではありません。
 
□ The Beatles - Across the Universe (Take 6)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
 
全てが聴くべき高い水準にある曲ばかりではありません。 それでも、スタジオ内での会話がカットされずにそのまま残されていたり、あの名曲のプロトタイプがそのまま聴けることは幸せなことだと実感しています。 最終的にはそれぞれが別々の道を行くことを選択するわけですが、このスタジオの中の空気感、4人のミュージシャン・シップがダイレクトに伝わるこの”セッションズ”は”イーシャー・デモ”同様に貴重な存在です。
 
一晩中スタジオに籠もり、思いつくアイデアを自由気ままに、そして、狂気もはらんで探求した貴重な瞬間が閉じ込められています。 
 
次は、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の発売50周年記念アルバムをじっくりと聴いてみましょうか、とても時間とエネルギーが必要ですけど・・・・・・。
 
それとも、ジョン・レノンの『Imagine: The Ultimate Collection』も時間が許せばじっくりと聴いてみたい作品ですね。
 
 

オリジナルのアルバムは、シリアル・ナンバー入りでしたが、今回のアルバムを特集している「レコード・コレクターズ」12月号にも同じ趣向である番号が印刷されています。 ファンの方であれば、この4種類の8桁の数字が何を表すのか?お分かりだと思います。 私の手元にある表紙は、”1940109”です。

 
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