”While My Guitar Gently Weeps” の真実 | Music and others

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The BEATLES』(ホワイト・アルバム)の中で最も好きな楽曲、それはジョージ・ハリスンGeorge Harrison)がレノン=マッカートニーの二人に引けを取らない存在として脚光を浴びたこの曲、”While My Guitar Gently Weeps”です。
 
 
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1968年11月のリリースであり、日本初のアップル・レコードからのシングルカット、”オブ・ラ・ディ,オブ・ラ・ダ”(Ob-La-Di, Ob-La-Da)のB面に収められて発売されました。 因みに当時のタイトルは、”マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス”(My Guitar Gently Weeps)と原題とは変えられていました、理由は分かりません。 シングル・レコードを購入したことは記憶にあるのですが、十数年前に一括して処分してしまい現在は手元にはありません。
 
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今回発売された50周年記念エディションには、合計で4つの演奏が収められています。
 
まずは、ジャイルズ・マーティン(Giles Martin)による2018年最新リミックス、従来のミックス(2009年版)との差は、ジョージのヴォーカルがより鮮明にクリアーになっている点でしょうか? そして、エリック・クラプトンの弾くギターやバックで響いているアコギの音、6弦ベースのレベルがかなり上がっています。 特に、エンディングでのギター・ソロとバッキングが一体化して進行する部分は圧倒するような音像であり、このリミックスの良いところかと思います。
 
□ The Beatles - While My Guitar Gently Weeps  from 『The White Album 2018 Remix ; 

 

 

 

 

 
 
続いて、今回全容を新たにした”イーシャー・デモ”(Esher demos)における、メンバー4人によるアコースティック・デモがあります。 インストとしては完成している訳ではありませんが、ヴォーカルやメロディラインはもう完璧です・・・・。
□ The Beatles - While My Guitar Gently Weeps  ffrom 『The White Album Esher Demos ; 

 

 

 
 
 
そして、今回初出しとなったセッション音源、これはジャイルズ・マーティンが言っていた通り、”アンプラグド”版とでも言える素晴らしい演奏です。 「Sessions」と言うタイトルの5枚目のCDに収められています。
 
While My Guitar Gently Weeps (Acoustic version – Take 2)と言うタイトルです。アコギとハーモニウムによる演奏で、途中でジョージがマイクのセッティングに注文を付けており、一度中断があります。 ハーモニウムはポールが演奏しています。 これはこれで素晴らしい演奏で、完成版が聴きたかったですね。
 
□ The Beatles - While My Guitar Gently Weeps (Acoustic version – Take 2)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
 
 
 
そして、エリック・クラプトン(Eric Clapton)が参加している3rdヴァージョンでのテイク#27。 ジョージのカウントからスタートします、「One, two, three,four」と・・・・・。 ですが、途中で演奏が止められてしまいますが、明らかにギター・パートは別パターンを試していますね。
 
□ The Beatles - While My Guitar Gently Weeps (Third version – Take 27)  from 『The White Album Sessions ; 

 

 

 
 
 
コーラスのヴァースで、モニター室から声がかかりストップします。
 
How about?  How about?  Early? Are you singin' a …Are you trying to do slow key I'm just on slow key.」
と色々な声が飛び交っています。
 
 
コーラス部分の2ヴァース目のフレーズ、
 
 “I don't know how you were diverted,You were perverted too
 “I don't know how you were inverted,No one alerted you
 
how”で声が裏返ってしまって音程が狂ってしまい、その次のヴァースでも戻りませんでした。
 
従来の説明では、エリック・クラプトンによるギターのレコーディングは、完成していたトラックへのオーヴァーダビングであり、他のメンバーと共にアビーロード・スタジオで一緒に時間を共有していないと言われていました。 
 
今回のリリースに伴うインターヴューで、ジャイルズ・マーティンが言っていましたが、様々なセッション・テイクを聴いて「エリックも同じスタジオでメンバーと共に演奏して、会話をして、同じ時間を共有していたんだよ!」と。 保管されていたマスター・テープを全て聴いたジャイルズ・マーティンが羨ましい限りです。
 
だからこそ、ジョージが思い描いていた素晴らしい”泣き”のギター・ソロが産まれたのでしょう。
エリック自体は、最初からギターを弾くつもりでロンドン、アビイ・ロード第2スタジオに来た訳ではありません。 同じサリー州に住むご近所さんであり、68年9月6日にジョージはエリックの車(多分、当時乗っていたポルシェ・カレラ)に同乗してロンドンに向かったのです。
 
その車中で、ジョージがエリックに対して「自分の曲でギターを弾いてくれないか?」と持ちかけたことがきっかけでした。 控えめな性格のエリックは、当初は「畏れ多くてとんでもない! 勘弁してくれよ。」と拒んだそうですが、ジョージが説得してスタジオに拉致ったと言われています。
 
自身のギターを当然持ってきていませんでしたが、ほんの1ヶ月前にジョージに譲渡したチェリー・レッドのギブソン・レスポール(1957 Les Paul Standard)、通称”ルーシー”(Lucy)がスタジオには置かれていたのです。
 
この曲の着想は、インドへの”超越瞑想”のための旅行中にヒントを経て、帰国後に書き上げられました。 歌詞を見ると想像できるのですが、全篇に亘りトーンは悲観的な内容です。 普遍的な”愛”(神)によって全てが救われ、守られる筈なのに、どうして・・・・なんだろうか?!。
当時は、ケネディ大統領やマーティン・ルーサー・キングが相次いで暗殺されたりと、社会情勢は暗転していましたから・・・・。 
 
ジョージ特有のスピルチュアルな感覚が注ぎ込まれており、独特の空気感を持つ楽曲となりました。
 
 
これ以降には、実際に同じステージでジョージとエリックとが共演し、この曲を演奏する機会がありました。 1971年の”Concert for Bangladesh”、そして1987年の”Prince's Trust Concert”、それから実際にこの眼(耳)で体感した、1991年12月の”1991 tour of Japan”と都合3度あります。
 
71年の”Concert for Bangladesh”の時の長髪に髭と云う風貌はイケていましたが、当時はヘロインの深い闇の中にどっぷりと浸っていた時期であり、目を惹いたのは抱えていたギブソン製のアーチトップ・ジャズギターでした。 通称は、バードランド(Gibson Byrdland)、でも演奏自体は印象には残らないものでした。 今は亡き、ジェシ・エド・ディヴィス(Jesse Ed Davis)のサポートの方が光っていました。
 
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□ George Harrison with Eric Clapton  - While My Guitar Gently Weeps   from 『The Concert for Bangladesh』in 1971 ; 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
感動に胸震えた91年12月の来日ツアーのステージに、ジョージとエリック御大が並んで演奏した時は夢心地でした(その時のことに触れたブログはこちら↑↓
 
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□ George Harrison with Eric Clapton  - While My Guitar Gently Weeps   from 『Live in Japan ; 

 

 

 

 

 
 
 
 
そして、番外編とも言えますが、2002年12月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された”The Concert for George”では、ポールにリンゴ、そして、ジョージに生き写しのようなダニ・ハリスンと共にエリックがこの曲を演奏しています。
 
□ Paul McCartney, Ringo Starr, Eric Clapton with  Dhani Harrison - While My Guitar Gently Weeps   from 『The Concert for George ; 

 

 

 
 

 

 

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