ぶらりと入ったオフィスそばの書店で目に飛び込んだ、雑誌の表紙に目が釘付けになりました。 ブルータス2/15号は、山下達郎の”Brutus Songbook ”-最高の音楽との出会い方 でした。
これは、山下達郎氏の長寿番組である”サンソン”(サンデー・ソングブック)の25周年を記念して、雑誌ブルータスとコラボしたスペシャル・エディションです。 すでに、彼方此方では完売で入手出来ないみたいです。 たまには、良いこともあるもんですね。
最近、ブログで取り上げている『I am Brian Wilson』(Kindle版)において、丁度ブリル・ビルディング(Brill Building)の話を取り上げて、キャロル・キング(Carole King)、シンシア・ワイル(Cynthia Weil)、バリー・マン(Barry Mann)との偶然の出会いとブライアン、キャロルのレコーディングの話をアップしたばかりでした。
正に、偶然とは言えシンクロしてしまいました。
92年にスタートしたFM東京の山下達郎の『Saturday Song Book』、途中で曜日が日曜日なり『Sunday Song Book』と変わり、1000回を越えてなお続いている貴重なプログラムです。
熱心なリスナーではないですが、スマホの入っているアプリ、radikoで大体月曜日の朝か夕方、出勤途中の電車の中で聴いて、時折ニヤリとしています。 周囲の人は可笑しなオジサンと思っているかもしれませんネ??
山下氏の膨大なアナログ・コレクション(何と、60,000タイトルを超えるらしい!!)から自ら選曲して、且つ、オンエア用に自身でリマスターした上で流すという完璧主義者らしい懲りようは周知のことです。
私は山下氏の熱狂的なファンではありませんし、氏のCDは一枚も持っておりません。 奥方の竹内まりやさんのファンとして、間接的に番組を聴いてきました。
もちろん、あのビーチボーイズ(The Beach Boys)やブライアン・ウィルスン(Brian Wilson)に対する造詣の深さは、ミュージック・マガジンやレコード・コレクターズなどを通じて良く知っております。
世代的には近いということから、細部にまでこだわりを持った素晴らしいライヴ・ステージを一度でいいから経験したいという欲求はずっと持ち続けています。抽選に応募し続けていますが、未だに当選することは叶いませんが・・・・。
今回も、このブルータス2/15号を読みながら、彼の敬愛する数々のアーティスト論に感銘を受けて、あらためて自身のCDライブラリーに手を伸ばしました。 最近は、Sportify一辺倒になり、自身の所有するCDライブラリーには無関心になっています。
特に、私のブログでも取り上げた二人のアーティスト、バリー・マン(Barry Mann)とカーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)にあらためて目を向けさせてくれたのは、山下達郎氏のおかげでもあります。 氏の解説というか洞察力には深い感銘を受けたものです(感謝!)。
ただし、カーティス・ネタにおいては、色々と揶揄されている面はあります。 例のカーティス・メイフィールドの”Tripping Out”と”あまく危険な香り”の類似性の話ですね。
直近である3月4日と18日の2回に亘っては、このブルータスとの連動企画と云うことで「ブルータス ソングブック」リクエスト特集をやっております。 通常のリクエストは葉書のみでの受付ですが、今回に限りメールも受け付けたところ、大量のメールが届いてしまい、全てに目を通そうとする達郎氏の発案で2回に分けて行うことになった模様です。
なお、今日3月11日は東日本大震災発生の日であると言うことで、それを振り返る意味合いで特別版になるとの告知がありました。
この番組自体はライヴで放送されている訳ではなくて、収録自体は夜間に行っているそうです。 どうでも良い事ですが、私のオフィスは半蔵門、麹町エリアにあり、この放送がオンエアーされているFM東京は本当に目と鼻の先にあります。
山下達郎氏については、ある種の伝説と言うか、ポリシーをお持ちのようで、
「本を出さない。」
「アリーナ・クラスの箱でライヴをやらないー自身のライヴに限る。」
「テレビに出ない(CM?)。」
と言う事を頑なに遵守しているそうです。
さて、そのブルータスの記事の中には、「最高の音楽との出会い方」と銘打って、
22のアーティスト(プロデューサーなども含む)、または、ジャンルについて、見開き2ページ分の記事-過去に番組で語った内容をまとめたもの、が収載されています。 内容は非常に濃くて読み応えがあります(リクエスト特集で皆さんが述べているように、活字サイズが小さいので老眼気味の方は辛いですが・・・・・汗)。
私が気に入っているのは、
カーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)
ブルース・ジョンストン(Bruce Johnston)
トム・ダウト(Tom Dowd)
バリー・マン、シンシア・ワイル(Barry Mann & Cynthia Weil)
キャロル・キング(Carole King)
の5つの記事ですね。 特に、ブルース・ジョンストンについてはあらためて彼の才能を知らされました。
そして、挙げられた楽曲を聴きながらこれらの記事を読んでいると、不思議なマジックが起きてくるのではないかと思わせます。
インプレッションズ(The Impressions)時代から素晴らしい作曲能力があった訳ですが、70年代に入りソロ・シンガーとして、サウンド・クリエイターとしての充実ぶりは凄まじいものがありました。 私は、当時ソウル・ミュージックは全く聴く耳を持ち合わせずに、ひたすらロックしか聴いていませんでした。80年代に入ってから、数々のアーティストが彼の楽曲をカヴァーしているのを聴いてから、オリジナルの楽曲を聴いてその素晴らしさを人間性と共に強く印象付けられました。
□ Curtis Mayfield - "Billy Jack" from 『There's No Place Like America Today』
今日7回目の3月11日迎えて、この人の歌をじっくりと聴きたいですね。 以前取り上げたブログはこんな感じでした。
※)癒しの音、カーティス・メイフィールド(↓↑)
バリー・マンと言う人のプロのライターとしての懐の深さを思い知らされましたのが、70年代のシンガー・ソングライター達と組んだ楽曲の数々ですね。 正にプロフェッショナルな仕事です。 60年代中期には、楽理を学ぶためにジュリアード音楽院に入り、正式に作曲法などを学び直したという話を聞いて驚きました。 82年リリースのこのアルバムは、AОRの名盤として知られています。 ビル・ラバウンティとバリー・マン、シンシア・ワイルによる共作になります。
□ Bill LaBounty - " Livin' it up" from 『Bill LaBountry』
以前彼の作品を取り上げたブログは
この『Surf's Up』に収録されたこの曲、ブライアン・ウィルスン(Brian Wilson)も回顧録『I am Brian Wilson』の中で触れていました。 タイトルからイメージするような曲ではなくて、悲しみを湛えた曲であり、ある種のノスタルジア(nostalgia)だと。そして、最もブルース・ジョンストン(Bruce Johnston)を有名にした楽曲だと(それは違うと思いますけどね・・・・・笑い)。 歌詞の一部を掲載するくらいに認めていたと言えます。
□ Bruce Johnston - "Disney Girls" from 『Going Public』
それから、この全米ナンバーワンのヒット曲を、ブルース・ジョンストンが一人で書き上げたことは当時は全く知りませんでした。75年ですが、この当時は一時的にビーチ・ボーイズを脱退して時期ですね。
邦題は確か「歌の贈り物」だったと思います、素晴らしい曲ですね。
□ Barry Manilow - "I Write the Song" from 『Tryin' to Get the Feeling』
そして、締めくくりは、私にとっては、エリック・クラプトン(Eric Clapton)、オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band)を通じて知った偉大なエンジニア、プロデューサーでったトム・ダウト(Tom Dowd)、その人ですね。
デュエイン・オールマン(Duane Allman)と憧れのギター・ヒーローであった、エリック・クラプトンとの出会いを取り持ち、この素晴らしい化学反応ともいえる名演をレコーディングしてくれた訳ですから。
□ Derek & The Dominos with Duane Allman - "Why Does Love Got To Be So Sad" from 『Layla and other assorted love songs』
それから、今日は久しぶりにリアルタイムでこの”サンソン”を聴きました。 テレビで組まれている追悼番組は視る気持ちにはならないからです。 ”3.11、あれから7年、祈りを込めて特別プログラム”でした。
山下氏の”Reborn”で始まり、そして”希望と言う名の光”で静かに終わりました。
何もできなかった自分ではあるけれど、少しの間だけ祈りを込めました。
それは、自分の生まれ故郷である愛媛県松山市にも。