正にブリティッシュ・ロック! 『ラフ・ミックス』 | Music and others

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77年度リリースの、これぞブリティッシュ・ロックな作品、『ラフ・ミックス』(Rough Mix)です。 元々の購買動機は、エリック・クラプトンが客演しているからでした。 所謂、"クラプトン買い"と云うものでした。 かなり、当たり外れはありますが、これは”大当り”です。


最近、急に聴きたくなり、繰り返して聴いていると、あらためて彼ら二人のシンプルな”良さ”を感じるのです。


直接の動機は、"ALS アイスバケツ・リレー"と云うムーヴメントがある時期話題を呼び、メディアに取り上げられたからです。

と言いつつ、この内容を書き始めたのは2014年8月頃のことです。それから、9ヶ月近くも放置していたことになります。

今となっては、あれだけ話題となっていた"ALS アイスバケツ・リレー"は全く聞かなくなりました。一過性のものにしていい筈はないのですが、福島の原発、沖縄の辺野古移設問題、と同じことなんですね。一人一人が何か行動に移さないと、アッと言う間に風化してしまう。我々にとっては、少しばかり怒らなければならないことです。


さて、この"ALS"と言う難病の名前を聞くと、即座に想い出すのは今は亡きロニー・レーンRonnie Lane)でした。スモール・フェイセス(Small Faces)のリーダーとして、ある時期には英国のムーヴメントの中心にいた人物です。


でも、これは私の単なる勘違いでした。正確には、ロニーが発症したのは、多発性硬化症(たはつせいこうかしょう、英: multiple sclerosis; MS)だったからです。


※)多発性硬化症(たはつせいこうかしょう、英: multiple sclerosis; MS)とは中枢性脱髄疾患の一つで、脳、脊髄、視神経などに病変が起こり、多様な神経症状が再発と寛解を繰り返す疾患。
日本人の場合には、10万人当たり8~9人の発症率であり、人種によってかなりの差があるそうだ。


アイスバケツ・リレーで認知と募金を募っているのは、筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう、amyotrophic lateral sclerosis、略称:ALS)でした。最近亡くなったTOTOのマイク・ポーカロ、チャールス・ミンガス、有名なのはスティーヴン・ホーキングでしょうか? それから、ドキュメンタリー映画が公開されたメタル系の早弾きギタリスト、ジェイスン・ベッカー(Jason Becker)ですね。



さて、本アルバムを聴くたびに感じるのは、何か"祷り"(いのり)の雰囲気を感じ取ってしまうのです。 歌詞にその様なメッセージ性が込められている訳ではないのです。当時、この二人が置かれていた状況、そして傾倒していたインドの導師、ババの教え(Meher Baba, the Indian spiritual master who died in 1969)が何かしら影響しているんではないでしょうか?



彼が置かれていた状況とは、
 - ピート・タウンシェンド;ザ・フーの成功を支えた筈のマネージャーであったキッド・ランバートとの訴訟問題、そして、キース・ムーンの健康状態の悪化と離脱、バンドとしての存在感が薄れる渦中にありました。 相当に音楽業界そのものに嫌気がさしていた時期なのです。

一方、ロニー・レーンはと言えば、ロッド・スチュワートを看板にすえたフェイセズが大成功を収めるに連れて、アメリカでのツアーの日々に疲れ果て、人間関係に嫌気がさしてグループからいち早く脱退したのです。自身のバンドであるスリムチャンスを結成し、夢であった、”パッシング・ショー”を行いました。
このショーは、以前から構想を温めていた歌や踊りなどを巨大なテントで興行する”旅回りの一座”の様なもので、ワゴンやバスで全英各地を回りました。非常に好評を得るも商業的には成功せず、かなりの借金を負うことになったようです。



    
そして、当たり前ですがらそれぞれの楽曲の端々に、あのモッズ族の絶大な指示を受けていた2大グループ、ザ・フー(The Who)とスモール・フェイセス(The Small Faces)のエッセンスが聴き取れます。

刺激的なギターリフ、雑然としたビート感覚、フィフティーズっぽいロック・テイスト、あからさまではありませんが、彼らの在籍する(していた)バンドの香りがプンプンと漂っています。特に、ピート・タウンシェンドにおいては、一人フーとも云える印象を受けます。ソロ作品とは言え、取りも直さずザフーそのものにしか聴こえないサウンドだと言えます。


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1.  "My Baby Gives It Away"   Pete Townshend
2.  "Nowhere to Run"    Ronnie Lane
3.  "Rough Mix"   Ronnie Lane, Pete Townshend
4.  "Annie"   Eric Clapton, Kate Lambert, Ronnie Lane
5.  "Keep Me Turning"   Pete Townshend
6.  "Catmelody"   Ronnie Lane, Kate Lambert
7.  "Misunderstood"   Pete Townshend
8.  "April Fool"   Ronnie Lane
9.  "Street in the City"   Pete Townshend
10.  "Heart to Hang Onto"   Pete Townshend
11.  "Till the Rivers All Run Dry"   Wayland Holyfield, Don Williams

2006 reissue bonus tracks);
12.  "Only You"   Ronnie Lane
13.  "Good Question"   Pete Townshend
14.  "Silly Little Man"   Ronnie Lane


◾️ Personnel;
Ronnie Lane and Pete Townshend — vocals, guitars, electric guitars, mandolins, bass guitars, banjos, ukuleles

John "Rabbit" Bundrick — organ, Fender Rhodes on "Nowhere to Run," "Rough Mix," "Keep Me Turning," "Heart to Hang Onto"
Boz Burrell — bass guitar on "Heart to Hang Onto" and "Till the Rivers All Run Dry"
Mel Collins — saxophones on "Catmelody"
Eric Clapton — guitars, dobro on "Rough Mix," "Annie," "April Fool," "Till the Rivers All Run Dry"
John Entwistle — horns, vocals on "Heart to Hang Onto" and "Till the Rivers All Run Dry"
Peter Hope Evans — harmonica on "Nowhere to Run," "Misunderstood"
Benny Gallagher — accordion on "Annie"
Graham Lyle — twelve-string guitar on "Annie"
Dave Markee— double bass on "Annie" and "April Fool"
Henry Spinetti — drums on "Nowhere to Run," "Rough Mix," "Keep Me Turning," "Heart to Hang Onto," "Till the Rivers All Run Dry"
Ian Stewart — piano on "Catmelody"
Charlie Watts — drums on "My Baby Gives It Away" and "Catmelody"









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ロニーが多発性硬化症と診断されたのは、この『ラフ・ミックス』の録音直後でした。自身の母親が苦しんだ病に、自身も罹るとは思いも寄らなかったはずです。その時点では、病状は軽度であったため、ツアーを行い作曲も行なっていたようです。 更には、エリック・クラプトンと共にレコーディングを行い、ラスト・アルバムである『シー・ミー』(See Me)は二人が共に作った曲が何曲か収められています。


80年代になるとレーンの病状が悪化して行きます。83年、多発性硬化症の研究機関を支援するためのチャリティ・コンサート「ARMSコンサート」を提唱しました。このコンサートは9月に行われ、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジの3人が「いとしのレイラ」で共演したことが話題となりましたね。コンサートの終盤にはレーン本人もステージに登場しました。


スモール・フェイセス時代には、今は亡きスティーヴ・マリオット(Steve Marriott)とのコンビで小気味良いヒット曲を産み出しました。素朴で哀愁とユーモアに溢れた独特のサウンドは、主役にはなり得ませんが何とも言えない味わいがあります。頂点まで行きそうであったあのフェイセズ時代にも佳曲がありました、”Ooh La La”はロニー(Ronnie Wood)との共作ではありますがしみじみとします。




とってもジョークが好きで、心から音楽を愛していたロニーですが、病状が進行して行くに従い体が思うように動かなくなりました。 それでも、創作活動は続けていたそうです。90年には来日してステージに立ったそうですが、当時は全く記憶にはなくその姿を目にすることはできませんでした。そして、97年6月4日に51歳の若さで旅立って行きました



簡単に印象に残る曲をいくつか紹介しておきます(全部イイですけどね・・・笑い)。


幕開けの1曲目、聴いただけで誰の曲なのか分かり易い一人フー(The Who)なピート・タウンシェンド(Pete Townshend)の曲です。本アルバムの企画の段階では、ロニー・レーンからプロデュースの依頼と共に、楽曲の共作を持ちかけられていますが、ピートはきっぱりと断ったそうです。理由はシンプルで、「過去にそう言う方法で曲を作ったことが一度もないから・・・」無理だと。

それにしても、小気味の良い曲です、疾走感がたまりません。ドラムスは何と愛すべき伊達男、チャーリー・ワッツ(Charlie Watts)です。


◇ "My Baby Gives It Away" by Pete Townshend;






そして、2曲目はガラッと変わってロニーによるカントリー・ロックです。オルガンで参加しているのは、ラビットことジョン・バンドリック(John "Rabbit" Bundrick)です。本領発揮のほのぼのとした、マンドリンとハープの効いた曲です。


◆ "Nowhere to Run" by Ronnie Lane;




3曲目は、ジャム・セッションから産まれたというか、そのまんまのインストです。二人の共作曲のクレジットがあります。 エリック御大の参加した、もう和気あいあいとした”アルコール”臭プンプンのジャムですね。


そして、4曲目は最も好きな曲、ロニーの”アニー”です。アイリッシュ・トラッドの香りのする牧歌的、且つ、フォーキーな曲です。アコーディオンが効いてますね。

□ "Annie" by Ronnie Lane;







8曲目は、4月1日生まれのロニーが自らの誕生日について歌った曲です。ここでの、ドブロはエリック御大が弾いています。


■ "April Fool" Ronnie Lane;






次の9曲目は、一聴しただけで分るオーケストレーションの入った”ロック・オペラ”な、ピートの楽曲ですね。”トミー”や”4重人格”の中にあっても、全く違和感を感じない、らしい曲です。


◇ "Street in the City" Pete Townshend






オリジナル・アルバムは、11曲目のドン・ウィリアムス(Don Williams)のカヴァー曲、"Till the Rivers All Run Dry" で静かに幕を閉じます。エリック御大もある時期随分と傾倒していた、カントリー・ナンバーです。 勿論、エリック御大がドブロ、元バドカン(Bad Company)のボズ・バレル(Boz Burrell )がベースを担当しています。







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※)このブログは書きかけのまま、9ヶ月近く放置しており、何度も書き直していたので、どんどん脈略の無い方向に進んで行きました。 でも、このアルバムには愛着があるので無理矢理アップしました。


どうでもいい話ですが、昨日の日曜日の明け方は、UEFAチャンピョンズ・リーグのファイナル、そして、今は全仏オープンのファイナルと眠れない日が続いてます。 頑張れ、ジョコビッチ!、生涯グランド・スラムへの想いが強すぎて、思う様なプレイが出来ていない、底力を見せてくれ!!