「帰れるときは帰りましょう」

 

ある日、外泊許可が出る。

 

 

昼頃母と迎えに行き

実家へ。

 

「どこへ行く?」

と筆談の父

(紙ではなく、手のひらに)

 

「家に帰るんだよ」

(そうか...)

 

また数分後

「どこへいく?」

 

「おうちで~す」

(そうか...)

 

 

何度繰り返しても

不思議そうな顔をする父。

 

 

 

家ではそこまで

記憶障害がひどくは感じず

過ごすことができたと思う。

 

トイレの場所を

忘れたりとかはあったみたいだけど。

 

 

次の日に病院へ送る時も

「どこへいく?」

 

病院で~す

とりあえず点滴受けるんだよ~

 

不安にさせないように

そう言ったと思う

 

これも数回繰り返す

 

時折まともで

時折記憶障害

 

 

 

病院への支度をし

着替えてる父に

ふと目をやると

年齢のわりに

筋肉質だった身体は

みごとに

骨ばっていて

切なくなった...

 

 

 

 

入院する時

病院のすぐそばに

「ここが次の現場らしいんだ」

と、連れてこられた場所がある。

 

 

病院へ帰る前に

ちょっと寄ってみた。

 

「ここは?」

 

入院前に

現場だっていってたところだよ

 

「???」

ここじゃない的な反応w

 

もっとあっちだ、こっちだと

あちこち回る

 

「でもね~

おとん、ここだって言って

あたし連れてこられたんだけどw」

 

納得しないままの父を

病院へお連れする

(時間も時間だったし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>>>>つづく