コンペ後、すでに3日。叱正という大きな言葉の暴力こそ消え去ったが、秩序を失った部署には新しい暴力が渦巻き、人々がその無法に立ち向かうには、自らの力に頼るほかは無かった──。
チャララー チャララー♪
チャチャチャチャ チャチャチャチャ チャチャチャチャ トゥートゥ♪
チャラララー♪
これは、基本的に「自分も悪い」と考える自罰党の男たちと、基本的に「自分は悪くない。他者のせいだ」と考える他罰党の男たちの、闘いの物語である(単話)。
様々な複合的要因によって、大切なコンペ用の見本の完成が遅れ、事前の準備が十分にできず、役員から叱正を受けたところから、物語は始まる(単話w)。
マモル(他罰党)「けいすけさん、今回の件、インシデントレポートをまとめなければいけないですけど、その打ち合わせいいっすか?」
けいすけ(自罰党)「ああ、いいよ」
マモル「でも、そもそも、何で僕らがこれ書かなければいけないんすかね? だって、これ、A社さん(見本製造社)のミスでしょw」
けいすけ「いやだって、その管理も含めて、僕らの仕事だし……。それに、発注も予定よりかなり遅れたし……(君がね……(^^;))」
マモル「でも、それはもともと○○先生の最終チェックが超、時間かかったせいですし、あんなタイミングで渡されても、予定の発注日なんて、間に合いませんよ!」
けいすけ「○○先生が遅いのは元々予想ができたことだし、予定の発注日に間に合わないなら、事前にA社さんにその情報も渡して緊急対応の体制をとってもらわないといけなかったんじゃないかな……」
マモル「○○先生がここまで遅いって、僕、知らないっすもん。引き継ぎのときに、過去のスケジュール表はもらいましたけど、ここが最大のネックになるんだとしたら、もっとポイントをついた引き継ぎしてほしかったですよ。ユミコさんの引き継ぎじゃ、全然わからないっす」
けいすけ「いや……、それは、現担当者のほうから聞くもんだと思うけど……」
マモル「大体、なんで、○○先生なんですかね。最終的に選んだの、けいすけさんですよね?」
けいすけ「(え? 今後は俺かよ……)いや、それはずっとそうだったし、局長の指名でもあったし……」
マモル「だって、このチームのリーダーはけいすけさんなんだから、こんな結果になる前にリスク回避はしてほしかったです」
けいすけ「いや、上司のオーダーがそれなんだから、それを受けて最大限に努力するのが仕事だよ……。○○先生だって忙しいんだから、もうちょっと手もあったと思うし、ユミコさんにもっと聞いておくべきだったと思うし、そもそも発注はもう少し早くできたと思うよ。だから、僕らにも責任あると思う……」
マモル「無理ですよ。残業の上限は労働協約で超えられないし、そもそもA社の××さんが頼りないんすよ。納期わかってるんですから、それを踏まえて僕らに言ってくれないと。それに、それも含んだマネジメントは、けいすけさんがしてくれないと。僕はまだそういう按配わかんないっすよ」
けいすけ「(うちの部署に来て、もう3年目だろう……)残業の上限は守らなければいけないけど、それでも何とかするんだよ」
マモル「どうやってですか? ふろしき?」
けいすけ「いやいや、まあ、そういうんじゃないけど……」
マモル「大体、A社さん、何でこんなに時間かかるんですか。うちの部署でA社さん以外を検討したことって、ありましたっけ?」
けいすけ「いや、僕が来てからはないと思うけど……。ほら、慣れてるし、付き合いもあるし……」
マモル「うーん……、わっかりました! じゃあ、数日中にレポートまとめますんで。ありがとうございました」
数日後……。
局長「けいすけ君、ちょっと!」
けいすけ「あ、はい」
局長「マモル君のレポートを読んだけど、彼は直接的には触れてないけど、君がもっとサポートすべきだったんじゃないか。あと、ユミコ君にも引き継ぎをもっとしっかりするように言っといてくれ。あと、○○先生とA社、今後もこのまま行くか、検討しておくように。以上」
けいすけ (あいつ、俺に見せずに、俺の不在時にレポート提出しやがった……。でも、メインの担当はあいつだからそれが悪いわけじゃないけど……。にしても、どんなレポート書きやがったんだ。全部、あいつ以外のせいみたいになってる??)
けいすけ「すみません、ちょっとレポートを見せていただいてもよいでしょうか」
局長「ああ、君はまだ見ていなかったのか。打ち合わせはしたと聞いていたから、てっきり見たもんだと思った。原本は上に回したから、これはコピーだが」
けいすけ(!!!!∑(゚Д゚) ……やっぱり、超巧妙に責任回避して、全部、自分以外のせいになってる!! あの打ち合わせ自体、やつが自分の正当性をアピールし、かつ責任回避の証拠集めのための罠だったのか!!! さすが、○大院卒……)
局長「ともかく、彼は優秀なんだから、キャリアに傷をつけることのないようにベテランがちゃんとサポートしないと。けいすけ君、頼んだよ。しっかりしてくれ」
けいすけ「はい(ノдT)」
チャララー チャララー♪
こうして闘いは終わった。インシデントの責任という大きな嵐は過ぎ去ったが、秩序を失った部署には新しい嵐が吹き荒れる。いつの時代でも、闘いの犠牲となるのは、自罰党の男たちである……。
完(ToT)
