高倉健さん主演の映画『八甲田山』

および、

新田次郎さん作『八甲田山死の彷徨』

いずれも有名ですね・・・恐ろしいですね・・・ブルブルブル。

映画『八甲田山』は、かつてわたしが妊婦の頃、臨月を迎えた8月のものすごく暑い日、

「妊婦はあんまりクーラーで体を冷やしちゃいけないかな？」

と考え、気分的に涼しくなろうと思って借りてきたビデオでした。ちなみに、八甲田山と南極物語を二本立てで見たのだ。

めちゃくちゃ寒くなりました

ヒ〜

それほど、身も凍る物語です。

題材となっているのは、「八甲田山雪中行軍遭難事件」でして、明治35年に起きた日本登山史上最悪の遭難事故です。

日清戦争に勝ち、次は大国ロシアとの戦争の気配が刻々と迫ってきていた時代。寒冷地での行軍を想定して、青森歩兵第五連隊第二大隊が演習のために八甲田山中にある田代を目指して出発したのですが、悪天候により遭難、199人の犠牲者を出しました。

これは、現代の雑誌記者が、この事件の裏に隠された秘密に気づき真実を探り当てていくミステリー小説です。

最高に面白かった〜

事件のあらましは映画で覚えていたのですが、その様子を主人公の記者が取材を通して丹念に辿っていく内容が興味深い。兵士たちは極寒の地でゆく道を見失い、身も心も極限状態になるまで追い詰められ、そして精神が錯乱し、見るも無惨な状態で死んでいく。

この恐怖感がヒタヒタ迫ってくる様子が、心底ゾッとします

あとは、ミステリー要素もすごく良く出来ていました！

八甲田山を取材に訪れたのは、人生の崖っぷちに立つ歴史雑誌編集者、菅原という男です。

売れない雑誌の起死回生を図りたくて、菅原は当時の陸軍が隠蔽した「ある事実」を探るために躍起になって取材をします。が、そのうち八甲田山に魅入られ、なんだか自分まで囚われの身になったかのようにのめり込んでいきます。

人生はある一つの判断を間違えたことでエア・ポケットにはまり、気づいた時には取り返しのつかないことになっているんだなあとか・・・

八甲田山で遭難兵士たちに思いを馳せて感情移入することが、自分の人生のリフレクションになっているんです。

これ、けっこう危ないぞ

この主人公、何か魔物に取り憑かれている。

最初は夏の八甲田を取材していたのに、「実際に事故があった同じ季節に山に入ってみたい」とか言って、真冬にもう一度八甲田山に入るとか・・・正気じゃないよ〜

っていうか入れるのか？

実際は道路が冬季閉鎖されているので通行止めらしいですが、地元のガイドについて特別に入山しているんです。

この地元ガイドが、なんかおかしい。普通の人間なんだろうか？こいつも何かに取り憑かれているかのような・・・

たった二人で入った雪山で天候が悪化。なのにガイドが次第に不可解な行動をとり始める・・・

キャーー

こういうところ、なんかホラーテイストがありました！

本当かどうか分からないのですが、心霊現象もあるみたいです。夜な夜な、雪中行軍隊が兵舎（現在は自衛隊青森駐屯地）に隊列を組んで戻ってくる姿が目撃されたりとか・・・

映画を見るだけでも極限状態に陥った人間の悲惨さはよくわかるのですが、改めて本当に怖い。

「リワンダリング」

ホワイトアウトの中で方向感覚を失い、真っ直ぐに進んでいるつもりであっても体が左右どちらかに偏ってしまって円を描くように同じところをグルグル回る現象。

何時間も何時間も歩いて、ふと気づくと同じ場所に戻ってきているなんて、かなり脱力・・・もう生きていく気力を失くしてしまう。

「矛盾脱衣」

死に至るほど体温が下がってくると、脳はそれ以上の体温低下を防ぐため、熱の生産量を高めて体内から温めようとする。それで、実際は極寒であっても熱くて我慢できなくなり、服を脱いでしまう。

→これ映画の中でも、「ワーッ！！」て叫んで裸になって雪の中に倒れる男のシーンがあったな。精神錯乱を起こしたのかと思いましたが、この現象のことだったのか。

凍死は非常に苦しいそうです。眠って死ねるなんて嘘なんだね。

ウウ、怖い怖い・・・

ちなみにこれを読んだのはとても蒸し暑い午後でしたが、やっぱりめちゃくちゃ寒くなりました

小説の中で取材がされていましたが「八甲田山雪中行軍遭難資料館」っていうのがあるそうですね。展示資料のレベルがすごく高いそうです。ここにもいつか行ってみたいものです。（遠いな・・・）

〜おまけ〜

明智光秀ブレンドをいただきました。

ミルクレープお気に入り

カップは函館土産のヒジカタ君で。

囚われの山