新潟県出身の作家、櫛木理宇さんのミステリー小説です。

この方の作品は残酷な描写が多くて読んでいてツライ部分があるのですが、それを上回って惹きつけるストーリーの運びがあると思うのですね。謎のかけ方が上手いというか。

なんか気になるからもう1ページ進みたい、いやあと数分あるからもう1ページ読みたい、とか、やめられない止まらない感がこの本にはあったと思います。

あらすじ。

かつて家裁調査官の白石が担当した少年・治郎が、めった刺しにされた死体で発見されます。警察が捜査のために入った少年の家からは、長い間監禁され虐待されていたような様子の衰弱した女性が見つかります。さらに、庭からは白骨化した死体も掘り出され、一気に猟奇的な大事件へと発展。

けれど、白石のプロファイリングでは、治郎は引きこもりで鬱を患っている少年で、とてもそんな事件を起こす人物とは思えない。

監禁されていた女性は、鎖に繋がれて、ドッグフードを食べることを強要されていたらしい。

キーワードとして出てくるのは、「犬」・・・

もう冒頭からドヨーンとくるような内容です。

最初に描写される陰惨で臭気漂うような光景から一転、元家裁調査官（現在はあるトラウマを抱えて退職し専業主夫中）の白石がおくる穏やかな生活と、料理上手な彼がつくる手の込んだ家庭料理が美味しそう・・・

多分料理が美味しそうなのは、メインテーマにあんまり関係ないんでしょうけど。

でも、こういう穏やかなシーンがないと、憂鬱すぎて心が持たないです。

白石はかつて担当した治郎の人物像を元に事件の真相を紐解いていき、友人の警察官・和井田とともに推理していきます。

関係者と思われる登場人物が次々現れますが、皆悲惨な過去を背負っており、これまた気が滅入る・・・

少年たちは家庭で虐待を受けており、大人たちはDVやハラスメントを受けて精神が病んでいるし。ハア・・・

残酷な内容だけど、誰が誰と繋がってどう事件に絡んでいくのか真相が気になって止まらなかったです。

でも！

ラストの謎解きは、ちょっと反則ではないかと思ったな

「そんなん聞いてないよー」的な事実が次々と明らかになった・・・

そして気がついてみれば登場人物がいっぱい！誰が誰だか把握するのが大変だったし、正直、読み終えた今でも「結局あれは何者だったんだ？」と理解できてない人間関係も多いな

なので、ストーリーは良かったけど、種明かしがイマイチだったかなという評価です

ひとことで言うとわかりにくかった。

ちなみに人が人を支配するやり方で、無理やりドッグフードを食わせるというのが書いてあるんですけど、ドッグフードって人間も食べられるように出来てるんじゃなかったっけ。ただ、塩分が全然ないので、クソマズイと思いますが。

わたしは食べたことはありません。

が、うちの娘は子供の頃にこっそり食べたことがあるそうです。

（カリカリのやつね）

なぜそんなことをしたかというと、犬があまりにも旨そうに食べるので、どんな味がするのだろうと好奇心に勝てなくて食べてみたんですって。感想は「別においしくはなかった」とのこと。

その話を聞いて、この子の好奇心てすごいなと仰天しました。信じられない。ビビリなわたしには真似できない・・・

お散歩中に発見。

これはポーッポーオッ、ッポッポーと鳴くアイツか。

虜囚の犬