この記事は「日本ラジオ博物館」様のホームページから引用しています。構成と一部画像はそのまま、文章は要約しますが、おおよそ原文が残ります。一部私見と画像も混ざります。

引用の趣旨は正確な情報発信であり、個人的営利目的ではない。自動的に挿入される広告は除き、営利目的の「Pick」は一切行っていません。

日本ラジオ博物館




BCLブーム以後の短波受信機


スカイセンサー、クーガーともに1976年まで盛んにニューモデルが発表されたが、BCLブームはわずか2-3年で下火となった。スカイセンサー、クーガーの上位シリーズとして遅れて登場したワールドゾーン、プロシードの各シリーズは1980年代まで継続した。BCLラジオの高級モデルにはデジタルカウンターを備えるものもあったが、受信回路は純粋のアナログ式であるため、デジタルカウンターの精度を確保するためのインターフェースの設計及び調整は困難であったと思われる。


 


皮肉なことにBCLブームが去った1980年代に入るとPLL技術を使った電子同調方式が安価に実現できるようになり、短波ラジオはディジタル直読表示とプッシュボタン選局式の高機能な使いやすい機種が多くなった。


初期のPLLシンセサイザーラジオは、やはりソニーとナショナルで、他社は手を出していないのか製品を見かけない。


SONY ICF-2001型 1980年 49,800円

(所蔵#12202)

ナショナル・パナソニック RF-3100B 1981年 59,800円
(所蔵#m12027)

BCLブームが去ったあと、短波ラジオは一部の愛好家やアマチュア無線家など、昔からある需要の他に、日本人の海外ビジネスの進展や海外旅行の大衆化に伴って、持ち運びができる実用的なモデルが主流になった。

ナショナル RF-B50型 1983-84年 24,800円
(所蔵#12060)

上記のナショナルのラジオとほぼ同等のソニー製品はICF-7600である。
これは普通のアナログ式ラジオだが、同じB6版相当のサイズにICF-2001と同等の機能を納めたシンセサイザ式のモデルがICF-7600Dとして発売された。

(所蔵No.12294)

短波放送の衰退 (1990-)

東西冷戦が終結した1990年代以降、政治宣伝目的の外国語短波放送はその多くが中止された。日本語放送もその例に漏れず、BBC(1990年)、ラジオ・オーストラリア(1990年)、ドイチェ・ヴェレ(1999年)、バチカン(2001年)など、かつてのBCLファンには馴染み深い局の多くが放送を中止している(カッコ内は終了した年)。

現在では日本語放送は韓国、北朝鮮、中国、ロシアなど近隣諸国を中心に残っている。東アジア地域に冷戦構造が残ってしまっているからだろう。

日本短波放送は1978年に局名を「ラジオたんぱ」に変更した。その後2003年10月には社名を「日経ラジオ社」に変更し、愛称を「ラジオNIKKEI」として日本経済新聞社および東京証券取引所を主要株主とする経済情報および競馬中継の専門局として現在に至る。

しかしソニーは根強く魅力的な短波ラジオが発売されていく。ICF-SWシリーズで代表的な短波ラジオを紹介する。

SONY ICF-SW22/23
 


SONY ICF-SW33


SONY ICF-SW55
 


SONY ICF-SW77
 


SONY ICF-SW100S

ソニーの短波ラジオにかける執念と努力には感服させられる。自身もソニーのカタログを見て心が揺さぶられた。

ICF-SWシリーズや ICF-SW7600G/GR は、BCLラジオの完成形と言え、そのスタイルは中華ラジオに引き継がれていく。


忘れてはいけないのは中波受信に特化した SONY ICF-EX5 である。周波数ダイアルに全国のラジオ局名が記され、容易に希望局の周波数に合わせられる。日本短波放送(現ラジオ日経)をスイッチひとつで受信できる。
ICF-SW7600G/GR と ICF-EX5 がBCLラジオの最後を飾った。

私事ですが、BCLラジオの始まりであるスカイセンサーとクーガの初号機、終焉機である上記三台を保有している。



このシリーズの記事を書くにあたり、日本ラジオ博物館
の記事・画像引用を快く承諾してもらった事に感謝申し上げます。



次回は中華製ラジオと呼ばれる中国(大陸と台湾島)ラジオの話題に移ります。