ashes and snow
『手紙で綴られた小説』より
― 七十八番目の手紙 ―
僕の運命は祖父によって決められた
祖父は妹に 自分の望遠鏡を与えた
僕には カメラと万年筆を
「まず ペンによって舌を清めることからはじめるんだ」 と祖父は言った
「それから ようやくそれから カメラで目を清めることができる」
「もうカメラを持ってもだいじょうぶだと思ったら ゆっくり歩け
心をできるだけ静かにしておくんだ
目でささやくことを覚えろ
言葉をこえたイメージをつかむんだ
ゾウの眼差しの曇りのなさを目指せ
目には見えないものを探しなさい」
「目を片方開けたまま 夢を見るすべを身につけてごらん」
Cameo.