飲み仲間との絡み以降、面白がって尾ヒレをつけられた噂が飛び交う事になる。

ちなみに下記の話しの頭に全て『私は』をつける感じで。

その1

やくざの女になっていて、男は何者かに刺された後隠れている。

その2

浮気をした男を刺して入院させた。

その3

やくざのけじめで切腹した男の看病につきっきり

その4

誰かを刺してきた男と逃げ隠れしている

等など、どんどん内容はかけ離れていく…酷いもんだ。

お陰で最終的には私はあっち(暴○団)の世界に入ってしまった事になり、大勢の飲み仲間は去って行くのであった…。

しょせん酒の繋がりなんてこんなもんなんだな。

ちなみにWとHを含む一部の仲間は現在に至るまで付き合いはあるが、彼等との絡みはまた先に書く事にして再びTさんの話に…。
Tさんと上手くいっている…、と最後まで言えずに言い澱んだ私に質問は続く。

W:やっぱりすぐにダメになったのか。

H:またか。

…“やっぱり”に“またか”って、こいつら失敬な。

私:まだ別れてないし。

H:じゃあなんかあったか?

そこでTさんが入院して腹を切った(手術した)経緯を説明、もしや胃潰瘍かと頭をよぎったと伝えると彼等はこう言った。

『緊急入院で連絡取れなかったって、実は刺されたんじゃないのか?』

…はい?

『なんかやって刺されたケド、お前には嘘ついてるとか』

…いやいや、刺されたのに当日ではなく後日手術してたら変だろう。

『入院してから2日のタイムロス、加えてお前はベッドから動かぬ男を見ただけ』

…そうだが。

『すでに手術は済んでいたんだろう、間違いない…刺されたな』

と勝手に結論に至り、納得しだす酔っ払い二人にいい加減飽きてきたので、もう好きにしろと放置して飲むことにした。

しかし案外一理あるかも…?

入院3日目に行った病室ではベッドに座ったままだったし、あれだけバカデカイ縫合跡(20㎝はあった)なのに術後一週間程度であっさり退院出来るもんだろか?

うーん、刺されたのなら息子の心配電話も頷ける…。

いや、もしくは何かに失敗して自ら切腹か?

いやいや、自らは無いな。痛いのだけは絶対嫌だと豪語しているようなデカイ子供と一緒だから、間違ってもない。

ならば刺されたとするなら一体原因はなんだ?

……よし…本人に直に聞くか。

再び黙りこみ、おもむろに携帯を取り出す私を気が付くと、野郎二人が見詰めていた。

『冗談本気で考えんなよ?』

『それと、携帯握ってるが本人にそんな冗談本気で聞くなよ?』


…酔っ払いは完全に私の方だったみたいですね。

そうして携帯を鞄に直す私であった。
基本私は恋愛関連の話しを自分から話さない。

しかし隠している訳ではなく、質問されればされた事には全部答える。

が、なんせ仕事を離れた途端面倒臭がり全開なので、説明をはしょる癖がある私。

誤解や勘違いを招くのが得意?だった。

とりあえず今回はTさんは普通の人だ、と言って彼等二人の妄想を一旦止める事に成功はしたがまだ興味があるらしく質問は続いた。

たいした内容では無いが、一晩で何回ヤるだの身体の相性だのとしばらくは下ネタづくしの質問ばかり。

それらに淡々と答える私に『ちょっとは恥じらえ』と言いやがる。

酔っ払い相手に恥じらっても仕方ないと思うが…、そもそも私にそれを期待するのが間違ってるよ?

すると下ネタに飽きたのかまともな質問に戻った二人。

H:ちゃんと会ってるか?お前、上手く行ってんのか?

W:お前は本当捕まらないからな~、付き合う男は苦労するだろなぁ。

…悪かったな、お前らに心配されたかないわ。

私:今回は(珍しく)上手くいって…

…ん?
待てよ……付き合う男は苦労するって…、まさかTさんは私が原因で胃潰瘍とやらになったのか!?

よくよく考えりゃ、そんな訳無いんだが、Tさんが変だと感じていた矢先だったので唐突に思ってしまった馬鹿な私。

しかしその時は少し酒が回り始めていたせいか、“だからTさんの様子がおかしかったのか!”と妙に納得。

途中で言葉が途切れた私に『人の不幸は蜜の味』…、ニヤリと笑う二人の質問は続いた。