中途半端に元気の有り余った病人相手に旅行を満喫し、無事帰路についた私。

無駄に元気とは言え病人には違いないが…、薬飲んでても外自由に出てるって事は実際そんなに酷く無いのか?

判断に苦しむ所だが、まぁいいか。

…と適当極まりないそんな感じで2ヶ月程過ぎたある日、再び入院するとTさんからメールが来た。
静かに寝息をたてるTさんの傍らに立ち彼の顔を近くで見る。

風呂上がりのはずなのに冴えない顔色、以前よりも痩せた身体。

…退院してしばらく経つのに、前より食が細くなってきたしな。

一体どの程度なんだか…全く、変なトコで意地張る癖があるからな。

いつまで病気を私に隠しておくつもりなんだろぅ…。

一つため息をついて眠るTさんの隣に身体を添わせると、ビクリと動き目を覚ました。

『戻ってたのか…驚いた』

『ご飯の前にお菓子食べ過ぎ』と言ってそのまま彼の上にのしかかり、服をたくし上げ手術の跡を指でなぞる。

微妙に痩せた身体に不釣り合いな程、妙に膨らんだお腹を眺めながらさっきまでの考え事を頭から消し去る私。

お腹を見つつ『デブ』と言い放つ私を押し倒し、病人とは思えぬ激しい行為にふけるのだが…さっき見た薬の瓶はもしや中身が違うのか?とふと頭を過ぎった。

飽きるまで何度か私を抱いた後、食事予約してたんだと慌てるTさん。

…だったら何度も抱くなよ、本当に病人か?

その後食事も済ませ、部屋にて再び私に跨がるTさん。

…本当に……病人か?
椅子に腰掛け眠るTさんを見詰めたまま、今見た物について考える事にした私。

Tさんに気付かれぬ様に慎重に元通りにした巾着…。

お菓子に埋もれた巾着に入っていた瓶には、私も見知った薬が入っていた。

紛れも無く癌に効くと謳われている薬…真価はどうか知らないが、高価な代物でよく広告に乗っていたのを見た事がある。

…よりにもよって、また私の勘が当たってたのか。

これで退院後の小料理屋にホテルでの一件、おまけに息子からの電話に今回の旅行に突然のプレゼント…。

変だと思ったのは間違いじゃ無かった訳ね。

とゆー事は病状があまり良くない可能性が高いのか?

…わざわざ会員制リゾート紹介してくれる友人、そして何より私にわざわざ隠しているTさん。

例え癌でも手術で何とかなったなら、笑い話で話すタイプの男が不自然な程隠しているのが何よりの証拠か…。

て事は私には自分の病状を知られたく無いんだな。

本人が自分から話したく無いものをこっちから聞く訳にはいかないし。

ここは馬鹿になって気付かぬフリをとりあえずは続けるしか無いか…。