「王子!どこですか!王子!!」
はてさて、こちらはいまだ王子を捜索中……
城中どこを探してもいないとなれば外だろうと出てきてはみたものの……
敷地は広く、どこから探せばいいものかとイバマサヨシは頭を悩ませた。
「困ったもんだ……」
実は、朝部屋に訪ねたらベッドがもぬけの殻、という事態は今に始まったことではない。
ある時を境に、まるで幼い頃一緒に遊んだ「かくれんぼ」の延長のように時々いなくなる事が多くなった。
比べる訳ではないが、第二王子――アラサカマコトの弟・カズキは常日頃から城を抜け出す常習犯で、
第一王子に比べ身辺の警護も少なく、普段の態度(城内での挨拶や社交界をサボることも多い)で、
城内でも反発している者が多い(特に古株の連中)ため、いなくなっても心配されない……訳ではないが、
「ああ……いつものことか」や「いっそこのままいなくなってくれれば……」と囁かれることも少なくなかった。
しかし、これが今まで何でもそつなくこなし、反抗的な態度も一切見たことがなかった第一王子だと話が違う。
いきなりいなくなるという事態は、皆をとても驚かせ城中を震撼させた。
「まさか賊にでも連れ去られたのではないか」と心配したものだが、
あっさり城の庭の片隅で寝転んでいたのを発見された時に王子が放った第一声はこうだった。
『やっぱり、僕がいなくなったらみんな探しにくるんだね』
【RPGパロ小説連載(2)】 王子と従者
「……あれは、どういう意味だったのか…」
自分はその時、まさか王子に何かあったのではないかとすごく心配した分、
第一声を聞いた瞬間、とても腹が立ったのを覚えている。
王子は国にとってとても大切な人。
国を民を背負って生きていかなければならない人なのだ。
言わば、王子の体は王子自身だけのものではないのだ。今までも、これからも。
それなのに、あのまるで他人事のようにあっけらかんとした態度は……。
ガサッ――――
「!」
城の敷地内にある湖畔まで辿り着いた時、茂みの奥から何か動く音が聞こえた。
職業柄サッと剣の柄に手をかけたが、その茂みから現れた人物を見て、手をかけるのを止めた。
「……こんな所にいたのか」
茂みから現れたのは目的の人物――マコト王子である。
朝靄と木々の間から漏れる光に当てられてクリーム色の髪の毛がキラキラと輝いている。
「……」
いつも傍にいると気付かないが、こうしたふとした瞬間に、王子と自分は住む世界も、
何もかも違うのだなと思ってしまう。
立場はもちろん、なによりまとう空気が違うのだ。
子供の頃から遊び相手としてずっとマコト王子とカズキ王子を見てきたが、
二人ともスラリと身長も伸び、王様・王妃様に似て顔も整っており、美しく成長なされたと思う。
最近では、諸国にも噂が広まっているらしく、ダンスパーティの招待状はひっきりなしだと誇らしげに執事頭が語っていた。
城の古株たちは「王子は早く良き伴侶を見つけて、国の地盤をさらに固めて欲しい」と願っているようで……
そういうのはプライベートなことだからと、王子たち本人に立ち入ったことを聞くことはないが、
どうやら当の本人たちは、のらりくらりと諸国の姫君たちの色んな「お誘い」を断っているらしかった。
――――
『――おとなになったら、きっとあなたといっしょに……』
――――
「っ!!」
これは、幼い頃の記憶。
まだ、自分もマコト王子も、「王子」という言葉の重みがよく分かってなかった頃の記憶。
幼いマコト王子の屈託のない笑顔を思い出しかけ、
イバマサヨシはぶんぶんと首を振ると共に、自分が考えようとしていた事を無意識に振り払いながら、
いまだ茂みの中で佇んでいる困った王子様にようやく語りかけた。
「――マコト王子!」
その王子様が、ほぼ同じ時、自分と全く同じ幼い頃の光景を思い出していた事を、イバマサヨシは知らない。
つづく
どうも!!中の人です!!!
本日はカップリング投票の結果発表もありましたが、いかがお過ごしでしょうか!!
中の人の小説第2話!!!この前の王子と従者の続きです!
ちまちまと他キャラの情報をこうやって出していけたらなと思っておりますので!
RPGパロ小説第1話はコチラ↓
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