凪良ゆうさんの『積木の恋』。
この本は今年はじめに朝南かつみさんの訃報を知って、
必死に買い集めた中の1冊です。
最近凪良さんにハマったので積読から発掘しました。

『恋愛前夜』の感想記事の冒頭に書きましたが、
ナギ、凪良作品を何冊か読み、どれもお気に入りなんです。
今のところ外れなし(ナギ的に)なので凪良作品単独でテーマ分けしようかと思いつきました。
で、この『積木の恋』を読んで決めようかなと思ってました。

結果。
この本もすごく好みだった!\*^O^*/
だから、今後は新刊買いしたいし既刊本も時間をみつけて読んでいきたい作家さん。
というわけで、時間を見つけてテーマ分けして凪良作品のINDEX作ります!

『恋愛前夜』の感想記事はこちら→ 恋愛前夜

積木の恋 著者:凪良ゆう イラスト:朝南かつみ

プラチナ文庫 BL小説 2011年10月
★★★★
積木の恋 (プラチナ文庫)/フランス書院
¥600
Amazon.co.jp


◆あらすじ(裏表紙)
恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師となった蓮は、恵まれすぎている男たちの金を巻き上げることに、なんの罪悪感もなかった。次のカモにと狙ったのは、総合病院の長男である医者の加賀谷。呆気なく騙され蓮に夢中になる加賀谷を、内心馬鹿にしていた。なのに――生真面目で真摯な愛情、穏やかな逢瀬。加賀谷と過ごす優しい時間に、知ることのなかった感情が沸き起こるが……。 ◆


詐欺師の受が攻を騙し金を巻き上げるというので、
黒さ全開の話かと思いながら読み始めたら、
予想に反して受の細やかな心情描写を重点に静かに進む展開で
スッと物語に入り込めました。

蓮の幸薄い生い立ちはBL小説としてはありがちな設定ではあります。
でも、そんな背景があるから、
加賀谷が見せてくれる優しさを現実のものと信じられない、
壊れること失くすことを想像して穏やかな日常の積み重ねに臆病になってしまう、
夢見ること自体が怖くて幸せに手を伸ばせない……
という蓮の葛藤に繋がっていく。
凪良さんらしい丁寧で繊細な心情描写があるからこその読み応えとなってます。

一方、裕福な加賀谷もまた拗れた家族関係を抱え、
お金があることだけが幸せだとは言えない現実が示されます。

虚像も時折洩れる素も含めた蓮の全てをふわっと包み込むような加賀谷。
そんな彼に対する蓮の心情変化が切なくもどかしく、
読み手の心を揺さぶります。

表題作は雑誌掲載されたものなのでこれだけでも完結しています。
でも、その後が描かれた書き下ろし2編を読めば、
全てを合わせてひとつの作品だという深みが心に沁みてきます。

『積木の恋 CHRISTMAS BOOK』
加賀谷と蓮と飼い犬クーの暮らし。
加賀谷の母、見合い相手の万里という新キャラも。
BLにおける女キャラは難しいですが万里は可愛くて好感が持てます♪

観覧車のラストシーン、絵も含めて好きです。

そして正月編『積木の恋 NEW YEAR’S BOOK』
加賀谷視点で描かれています。
加賀谷の目を通したカレンダーを大切にする蓮の姿にホロリ。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、
蓮とおばあさんのエピのフォローがされていないのは辛くはあるけれど、
それが現実の厳しさ、残酷さというリアリティを感じさせてると納得できます。

あとがきにタイトルについてがありました。
ナギは凪良さんと同じイメージに捉えてたんですが、
担当さんのイメージを読んで「なるほど!」と目から鱗!

うん。
恋は積木のように崩れてしまいそうだけど、
蓮と加賀谷、二人でしっかりと土台を作り、
二人の手で慌てずゆっくり積み上げていけば大丈夫ですよね。

素敵なタイトルです。

朝南さんの絵も素敵です。
艶を削ぎ落とし二人の切ない空気感を表現した描写が秀逸。
特に表紙と口絵のカラー、見事に『積木の恋』の世界です。

表紙の白い馬も美しい。

東山魁夷の絵は亡くなった母が大好きだった影響でナギも大好きなのです。
魁夷の絵の画像をググって見てたら画集が欲しくなっちゃいました。
たしか母が持ってたと思うんだけど、実家に残ってなかったのはどうしてだろう?
今度、父に聞いてみよっと。

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