『遅咲きの座敷わらし』ってなんぞ?
とタイトルに興味を引かれて買ってみました。

良かった!
座敷わらしが主人公というファンタジー設定ながら、
共感できる心情描写がたっぷりでしっかり読ませてくれます。

座敷わらしの千早は修行が長引いてしまい、
見た目が20歳近くという姿になってしまった落ちこぼれ。
これから頑張って主を幸せにする意欲満々な
まさしく『遅咲きの座敷わらし』。

千早、頑張ってますよ!
かなりズレてますが、でもそこが可愛い!

千早が憑いた部屋の主は冬樹。
常に無表情なので感情がわかりにくいですが(笑)

千早の眷属の狛犬も出てきます。
見た目チワワの青目と赤目。
可愛いんだ、これがまた♪

遅咲きの座敷わらし 著者:海野幸 イラスト:鈴倉温
シャレード文庫 BL小説 2012年6月
★★★★
遅咲きの座敷わらし (二見書房 シャレード文庫)/海野 幸
¥650
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◆あらすじ(裏表紙)
見た目二十歳の遅咲きの座敷わらし・千早が棲みつくアパートの一室に、新しい住人が越してきた。 今度の主は、大学院生の檜山冬樹。 これまで人を幸せにした実績のない千早は、今度こそ! と意気込むが、妖怪を信じない冬樹に変◇質◇者と間違われ、危うく警察に突き出されそうに。 なんとか同居にこぎつけ、冬樹の身の回りの世話をしつつ、彼の幸せをひたすら祈る千早だが…。 表情の乏しい顔に感情の乗らない声。 けれど感謝の気持ちは驚くほどストレートに伝えてくれる冬樹に、千早は惹かれてしまい――。 ◆ (あく禁対策で◇挿入)

的を外したりしながらも一生懸命な座敷わらし・千早の姿が微笑ましく、
感情を出さないけれど千早の頑張りをちゃんと見ているとわかる冬樹も良かった。
無口ながらも千早への感謝をきちんと伝えていますしね。
読んでてナギも千早と同じに嬉しくなった♪

だから、千早が冬樹に惹かれていく過程も違和感なく伝わってきます。

でも、冬樹に女の影がちらついた時、千早の心にさざなみが立ち始めます。
冬樹の幸せをひたすらに祈る千早だけど、
彼の幸せの中に自分は存在しないと思ってるから。

自分は座敷わらしなのだとわかっていても、
自分の感情の中に沸き起こる黒いものが押さえられず、
冬樹の幸せを祈る心との葛藤に苦しみます。

嫉妬や独占欲という感情は、
恋する者なら多かれ少なかれ生じるものだけど、
主の幸せを祈る座敷わらしにはあってはならないもの。
それが厳しい結果を引き起こす要因となってしまいます。
苦しむ千早がすごく痛々しかった。

後半の展開や結末の予想はつくものの
千早の切ない心情に何度もじんわりでした。

作中にある幸せの定義や、幸せは繋がっていくという説が胸に響きました。
それはささやかだけど、とても大切なものだから。

終盤の緊迫した展開では、
二人一緒の未来を祈りながら読んだナギです。
だって、それが二人の幸せだと思うから。

千早を支える狛犬の青目と赤目も良かったです!
実体化してない時は白くてちんまりチワワですが、
本体はでっかくて白い狼ですよ~♪

本体姿の挿絵がありますが、某友人帳の斑を思い出したりして♪
いえ、あんなに大きくないし強面でもないけども。
なんとなくイメージ的に…(笑)

読後感がほっこり温かい、現代モノの妖怪ファンタジーでした。
お気に入りの1冊です。

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