崎谷はるひさんの『信号機シリーズ』完結編。
あまりに重くて、読むのがしんどかったです。

読メのコメに「ねじれこじれた」という表現が多かったですが
まさに「ねじれこじれ」てます。
でも、シリーズ3作全ての完結として満足できるものでした。


これまでのレビュはコチラ

アオゾラのキモチ-ススメ-
オレンジのココロ-トマレ-


ヒマワリのコトバ-チュウイ- 著者:崎谷はるひ イラスト:ねこ田米蔵
ルチル文庫 BL小説 2009年4月
★★★★
ヒマワリのコトバ―チュウイ (幻冬舎ルチル文庫)/崎谷 はるひ
¥680
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◆あらすじ(文庫裏表紙)
カフェバー「コントラスト」のマスター・相馬昭生と弁護士の伊勢逸見。高校時代、恋人同士だった二人だが、伊勢が昭生にとって自分は“誰かの身代わり”なのではと疑ったことから徹底的に破局してしまう。 以来十年、伊勢を許せずにいるのに体は繋げ、微妙な関係を続ける昭生。 そしてそんな昭生のそばにいる伊勢。 すれ違ったままの二人は……。 ◆



相馬家の特殊な家庭環境が
全てに影響している
といってしまえばそれまでなのですが。

昭生もまたそんな家庭環境に振り回された人。
上手く大人になりきれなかった人。
そのココロの歪みが伊勢を、
そして昭生自身を苦しめていきます。

昭生はたぶん、
愛されることを知らなくて、
愛されることに慣れてなくて、
でも、愛されたくて…。
それがひかりへの執着と
滋への憧憬に繋がっていたのかなと思います。

そして朗は昭生の存在意義の象徴でもあった。
それを放置してしまったことにより
自分を責める結果になっていますが。

大人組の昭生と伊勢ですが
高校時代の彼らの話がたっぷりです。

高校時代、
肉親への愛と恋愛感情の区別のつかない昭生は
伊勢から向けられる愛情に怯え、
自分の中の感情を把握できないまま、
それを読み間違えてしまうんです。

伊勢もまた、大人びた性格ではあっても
成長しきれていない未熟な部分があって、
二人の中で、誤解と間違いがすれ違いを生み、
それを解決することもできず、
10年引きずってます。

昭生のヘタレな部分にも、
伊勢の一途なまでの献身にも
読んでてすごくもどかしくなった。

セックスだけはあるけれど
ココロはこじれたままなんですよ。
それがとても痛い。

喜屋武についても書かれています。
本質的な部分で破壊してしまっている人だけど
彼には彼の想いがありました。

史鶴、朗に関しても
この『ヒマワリ~』できっちりと完結しています。

そして、ひかりと滋に関しても。

私、『オレンジの~』の読メでのコメに
『ひかりを悲劇のヒロインとして崇め奉りすぎ』
と書いたのですが、
これはもちろん、夫・滋も息子・朗もひかりの弟・昭生も、
という意味で。

でも、それだけとは言い切れないものを
読み終えて感じました。

『オレンジ~』でのひかりのセリフにあった
「長引きすぎて…」というのが
『ヒマワリ~』の終盤、ふいに頭に浮かび、
ひかり自身、自分が長く生きられないと
予測していたゆえのワガママが
周りの家族を振り回してしまったと
自覚しているんだと気づきました。

そして滋のひかりへの想い。

私、ひかりと滋の子作りの方法を
あるものを想像してたんですよね。
でも、それがいい意味で外れました。

それを知った時、滋の苦しみを理解し、
そしてひかりと滋の愛も…。

この作品を読みながら
潤む視線のせいで何度も文字がかすみましたが
『アオゾラのキモチ』も『オレンジのココロ』も
この『ヒマワリのコトバ』に

見事に終結されていて、
とても満足のいくラストでした。

機会があれば、『アオゾラ~』から

全部もう一度読み返したいです。


人間同士の複雑な関わりや
それにより揺れ動く心情の深い描写、
それを読者に納得させるまとめ方、
崎谷さんさすがですね!

那義は崎谷さんの作品を初めて読んだのは
萌え重視の気軽に読めるものだったと思います。
それ以降も、そういった作品を読むのが多かったんです。

でも、『慈英&臣シリーズ』、
『インビジブルリスク』、
そしてこの『信号機シリーズ』と経て、
私は、崎谷さんの萌え重視の作品より
こういった深く重い物語性のある作品の方が好きです。
読むのはしんどいけどもwww
でも、それを満足感に繋げてくれる崎谷作品だから。

応募してる全サ小冊子、
このシリーズの番外編もあるから
届くのが楽しみです!
それまでに『不機嫌』シリーズ再読しなくては!
もうすっかり忘れてるしwww



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