一部屋ごとに色が違うホテルを舞台に
青→赤→薔薇色と時代を遡っていきます。
青い部屋には青春の…
赤い部屋には情熱の…
薔薇色の部屋には光の…
それぞれの切なく甘い恋のお話があり、
ラストの薔薇色では光溢れる結末で、
思わず涙しながら読みました。
ホテル・ラヴィアンローズ 著者:高遠琉加 イラスト:北上れん
B-PRINCE文庫 BL小説 2008年5月
★★★★★
- ホテル・ラヴィアンローズ (B‐PRINCE文庫)/高遠 琉加
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◆あらすじ
街中に建つ瀟洒なプチホテル・『ホテル・ラヴィアンローズ』。 寡黙で精悍なフロント係の数樹は、毎週金曜の夜に決まって『赤』の部屋に泊まりにくる、ワケありな美人サラリーマン・浅海のことが忘れられなくて……!? レトロで洒落たホテルの夜を妖しく彩るのは、駆け落ち、熱い思い出、そして奪う愛――!! 純愛と情熱が交錯するロマンス、書き下ろし作品も収録! ◆
青
廃業したホテルで過去を思い出す…
10代の少年たちには、どうにもならない問題を抱え
鬱屈した閉塞感から抜け出したくて…。
青一色の空の中へ飛び出してしまいたい!
空の青に焦がれる滝口と久住。
家とか学校とか制服とか…
一切を放り出して、自由に生きられたら…
そして二人で始める逃避行。
この時間がずっと続けばいいのに。
辿りついたのは、ホテル・ラヴィアンローズの青の部屋。
だけど終わりがすぐそこに来ていることもわかっていて。
赤
ホテルのフロント係の数樹は
毎週金曜日、赤の部屋に泊まる浅海に出会う。
シニカルな気持ちで相手をしていたはずが
いつの間にか浅海を過去から
引き剥がしてやりたくなって…。
過去の恋人から貰った回転木馬のオルゴール。
思い出はぐるぐると回り続ける回転木馬。
浅海を回転木馬から降ろそうと
数樹が理性の糸を切り、
生身の情熱をぶつけます。
そして薔薇色
戦後間もなく、華族だった千尋は
戦争に敗れ進駐軍に屋敷も何もかも取り上げられ。
そして何もない千尋が出会ったのは健志。
何も持たない子供同士、
でも二人で一緒に過ごす時間が楽しくて
何もなくても幸せで…。
だけど突然別れはやってくる。
別れたくない。離れたくないと涙しても
コドモにはどうする術もなく…。
いつか…。
出会えただけで、一緒に過ごした日々があっただけで
それは光になる。
いつか。いつか。いつか。
光があるから、それだけでこれからも生きられる。
高遠さんの美しい文章で綴られる
情景と心情のハーモニー。
とても感動でした。
思い出は月日を経るごとに美しくなるけれど
それはやっぱり過去でしかなく、
でもその思い出があるから
今の、これからの、生きる糧になる。
思い出の象徴のような
夕暮れの回転木馬の描写がとてもステキでした。
レビュじゃないですね、コレ。
ヘンテコでごめんなさい。
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