慈英&臣シリーズの短編集。

インクルージョンとこれとどっちを先に読むか

迷ってましたが、これを後にして正解。

インクルージョンの3年後のお話が

最後に入ってます。
慈英に対して抱えていた照映の心情も
やっと吹っ切れたようです。

短編集でしたが、一話一話がとても深くて

じっくりと時間をかけて読みました。


これまでのレビュはコチラ

ひめやかな殉情  しなやかな熱情
あざやかな恋情
インクルージョン (スピンオフ)


やすらかな夜のための寓話 著者:崎谷はるひ イラスト:蓮川愛
幻冬舎ルチル文庫 BL小説 2009年12月
★★★★★

やすらかな夜のための寓話 (幻冬舎ルチル文庫)/崎谷 はるひ
¥680
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◆あらすじ
刑事の小山臣は、人気画家で恋人の秀島慈英とともに赴任先の小さな町で暮らしている。 ある日、慈英の従兄・照映が二人のもとを訪れ……。 慈英十三歳、照映十八歳の夏が語られる書き下ろし 『ネオテニー<幼形成熟>』、商業誌未収録作『やすらかな夜のための寓話』 『SWEET CANDY ICE』 『MISSING LINK』 『雪を蹴る小道、僕は君に還る』 を収録。 ◆



あらすじにある、
『やすらかな~』から『MISSING LINK』までの
3話は、

『しなやかな~』『ひめやかな~』

間のお話だそうで、
そのうちの『SWEET~』
『インクルージョン』と同時期とのこと。

『雪を蹴る~』『ひめやかな~』の後。
『ネオテニー~』『あざやかな~』の数ヵ月後。

こうして慈英と臣のシリーズの

ミッシングリンクが埋まってみると
上記の順番で、もう一度シリーズ通して

読みたくなりました。

本当に短編集と思えないほどの

読後の満足度でした。

一話一話に全てHシーンがあります。
エロ的には、濃いと言えるのかもしれませんが、
二人のセックスは、
単なる身体の繋がりだけではないんです。

慈英も臣もいびつな心を持つ人間なので
お互いに相手でなければ
その心を解きほぐすことが出来ない。

セックスを通して、
それをしているというのもあるので
とても重いのですよ。

身体を繋げる描写と共に、
二人の心理描写も細かく書かれているので
読み終えるたびに、疲労感を感じるような…(笑)
いえ、もちろん心地よい疲労感ですよ♪
幸福感もたっぷりですしね。

今回、慈英の心が荒み、
それを臣に上手くぶつけられず
たがが外れたように臣を攻めてしまうHもあります。

それを受け止めようとする臣。

それが臣にとっては身体には辛いけれど

心には嬉しいことだったり。


心を閉じてしまっている二人が
お互いの心を丁寧に解しあい、

そしてその心と心を結び、織り上げていく…。
それは二人だけで閉じてしまっているものだけど
この二人にとってはそれが唯一であり全てである。

そうした繋がりがあって
やっと社会に対して適応できるようになっていく。
だからこそ、二人にとってのセックスは
心の紡ぐことでもあるんでしょう。


そして、慈英と照映。
子慈英と若照映のイラストが見れますよ!
しかも2枚もある!
とてもとてもステキです。

照映が筆を折った話は

インクルージョンで、
久遠の口からも語られてますが
照映自身が言っているような軽いものではなかった。

それがやっと照映の中でふっ切れたようです。
16年かかって…。
未紘の存在も、そのきっかけにあるのかもしれないですね。

臣は照映から譲られた、照映最後の絵を見て
照映と慈英の心の奥底にある

センシュアルな想いを敏感に察知します。
照映も慈英も自分の心に疎いので
気づいてなかったのかもしれないですが(笑)


このシリーズ、次回は
慈英視点の長編だそうです。

この短編集を読んで、
ますますこのシリーズにハマったので、
次作も期待を大きく、待ちたいと思います。



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