表紙絵を見ると、
陵辱系の痛い話のように思えますが
さほど痛さはないです。

気が短くて、
すぐに手を上げる攻めではありますがw

画商と画家の卵のお話なので
絵にまつわる描写も多く、

落ち着いた雰囲気もあります。


夜夜の月 著者:水原とほる イラスト:町田九里
ラヴァーズ文庫 BL小説 2006年2月
★★★★

夜夜(やや)の月 (ラヴァーズ文庫)/水原 とほる
¥600
Amazon.co.jp

◆あらすじ
家庭の事情で美大を中退した神原亮は、生活のために仕事を探しながらも、絵への未練を捨てきれないでいた。そんな時、業界でも有名な画商の澤と出会う。 澤は亮が描きたいものを描き、画家として稼げるようになるまで生活費も含めて面倒をみてやると言う。 その代わり出された条件は、澤が望むときにいつでも身体を差し出す「愛人」になることだった。悩みながらも、どうしても絵を諦められない亮は澤と「愛人契約」を交わしてしまう。 しかし、澤は画商として誰よりも優秀な目を持ちながら、絵をまったく愛さない男だった。 そんな澤の中に、過去の暗い影を見た亮は…。 絵を愛せない画商と、絵しか愛せない画家。それでも惹かれあう二人の狂おしい恋物語。 ◆



画家として絵を描くって大変なんですね~。
お金もかかるし。

両親を亡くし、祖父母に引き取られ
美大に通っていた亮ですが
祖父も亡くなり、生活が厳しいので
美大中退したんですよ。

でも絵を描くことを諦められなくて。
絵の具をたくさん買うお金もないから
白と黒だけで描いた絵を
路上で売っていたんですね。

そこに澤がやってきた。
澤が手に取ったのは、
亮が一番気に入っていたもの。

絵を買ってくれたのがきっかけで
澤の画廊で働き始める亮。

そして愛人契約。

男どころか、女との経験もない亮にとって
澤に抱かれることは恐怖でしかない。
しかも痛みと恐怖から
素直に身体を開かないと
叩かれて、薬を飲まされて…。

絵が描きたいという気持ちだけで
澤の愛人を続けますが
自分の思う通りの絵が描けず
アトリエに篭る日々。

そんな時、澤が海の見える場所に連れ出してくれて。

絵を憎んでいるという澤に
徐々に興味を持っていく亮。

時折見せる澤の優しい表情や仕草にも気付き始めます。


澤は気が短いので
亮の態度が気に入らないと
すぐに冷たい態度になって手も出すんですが
そうじゃない時は、
とても静かに時が流れていくんです。

亮も澤も孤独なんですよ。
孤独な魂と魂が触れ合って
惹かれあっていくのですけど
澤が抱える過去の苦しみがあり
なかなか心を分かり合うことが出来ません。


大人しくて、一見ヘタレに感じる亮が
思いのほか、しなやかな強さを見せます。

自分にとって絵を描くことの意味を悟り
自分の絵を描く方法を見つけてからは
特に。

そうして澤に向かう気持ちが生まれていくんです。

自分が気に入っていた絵を
選んでくれた澤。
今度は澤のための絵を描きたいと。


前半のHシーンは確かに痛いものがありますが
後半、亮が澤の優しさを感じ取るようになってからは
温かいものになってます。


夜と月。
これは亮の絵のモチーフなのですが
それがお話のイメージに重なって
静かな流れを感じました。

夜と月は静謐な印象で
私も大好きなのです。



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