はつ恋 著者:榎田尤利 イラスト:小山田あみ
リブレ出版BBN 小説 2009年10月発刊
★★★★★
はつ恋 (B-BOY NOVELS)/榎田 尤利
¥893
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榎田尤利氏の書き下ろし新刊です。

とてもいいお話でした。時々ホロリと来るシーンもありました。

◆あらすじ◆
優秀な弁護士である久我山は、性格が悪い。
これは当人も自覚しています。
外面がよく、容姿も整っているので女性にモテますが、久我山が相手を本気で好きになったことはなく、身体の関係のみのつきあいばかり。
ある日、数少ない友人で、高校時代の同級生・本城に、高校の担任・曽根の通夜に半ば無理矢理連れて行かれます。
久我山は曾根のことをほとんど覚えていなかったのですが、焼香している時、突然、脳裏に曽根の声が蘇ります。
――Hold me.
――I can't.

その後、ある事故が原因で久我山は高校生活を再び送ることに。。。



 不思議なシチュエーションのお話ですが、とても胸を打たれました。
不可思議な出来事の中で、久我山が気づき、感じ、考え、傷つき…、そういった過程を経て、かつて見えていなかったものが見えてきます。


 榎田さんにしては珍しく主人公がとても嫌なヤツなんですよ。
 その性格悪い主人公・久我山が一人称で話を進めていくので、読んでいるとムカついたりする場面もありますが、担任の曽根と関わることで、変わっていく久我山の姿に感動を覚えます。

 自己保身のための外面のよさという仮面、上手く世渡りするための計算高さ、そういったことを出来る自分を優秀だと自画自賛し、弱い人間を常に見下す久我山。
 でも生まれて初めて恋愛感情というものを知り、相手を思う気持ちや、その気持ちが報われない辛さ、そして今までわざと気づかないフリをしていた自分の弱さに気づきます。
 久我山自身とても辛い経験をしていて、でもそれに押しつぶされるのではなく、それを自分の奥深くに封じ込めて生きたきた。
 重い鎧を着込むことで自分の弱さを封印していたんだと思います。



 クライマックスシーン、涙うるうるで読みました。

この作品、那義が大好きな映画が出てくるんです。
あらすじにある英語は、その映画に出てくる1シーンです。
映画のこのシーンでも泣いた私は、文章読みながらそのシーンが蘇ってまたしても涙…でした←泣き過ぎwww
この映画、また見たくなったのでDVD引っ張り出して観ようかな♪
もう一つ映画が出てくるのですが、それも見たことある映画だと思います。
それのタイトルは作中に出てきませんが。


本当はもっともっと書きたいことがあるのですが、ネタバレしちゃいそうなのでこの辺で止めておきますw
榎田さんの作品にしては心が痛くなるシーンも多いのですが、私はすごく引き込まれて読みました。


小山田あみ氏のイラストもとてもイイ!
特に久我山と曽根が一緒のイラストは、どれを見ても癒されたり胸を打たれたり…。
榎田さんの素晴らしい作品をより一層素敵に演出していると思います。
表紙絵も大好きです!



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