ワークデイズ 著者:榎田尤利 イラスト:高橋悠
大洋図書SHY NOVELS 小説 2003年6月発刊
★★★★
ワークデイズ (SHYノベルス86)/榎田 尤利
¥903
Amazon.co.jp


アヅマリシリーズで脇役だった王子沢の話です。

上司である常務とタイへの出張の飛行機の中で、王子沢と出会う榊は冷凍食品会社に勤務している。
社長令息である常務のいい加減で女好きの性格により、榊の仕事は質・量共にキャパシティをはるかに超え、ストレス溜まりまくりだが、それでも必死に自分を保とうとする榊。
彼が背負うものがそうさせているのだが、いまにもバランスを崩してしまいそうな榊の様子に、初対面の王子沢が気づき、近づいていきます。


アヅマリシリーズでは報われなかった王子沢ですが、その後も伊万里、吾妻とも変わらぬ交流をしてます。
彼にとっても、また吾妻にとってもいたたまれない思いはあったのですが、それは大人として乗り越えたのですよね。

アヅマリシリーズでキワ様が王子沢を『強化ガラス』と評していましたが、この作品でそれがさらに納得できました。
年中おちゃらけて軽いノリの王子沢は、誰もを飄々と受け入れるので、温かい空気のイメージですが、何か事が起きた時には、強固な存在感と共に安心感も与えてくれてます。

辛く、断ち切れないしがらみを持ち、頑なになってしまう榊の心を溶かしてやりたい、受け止めてやりたい、そうやって好きになっていくのは王子沢だからこそ、だなぁと思いました。
王子沢は人の内面に抱えるものを、敏感に見抜いてしまう人なのですよね。

冷徹な仮面の下に、辛い過去の傷を持つ榊が、精一杯虚勢を張って生きている姿は、痛々しいです。
そんな榊が酔っ払ってポロリと素が見えたりすると、たまらなく可愛いです~←つい、王子沢と気持ちが同化しちゃいますw



≪榎田尤利作品INDEXへ



↓ランキングに参加してます。ポチしてもらえると喜びます♪
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ