宮部みゆき「模倣犯」文庫第4巻感想
3巻で浩美が退場してピース側のストーリーが終了。
1巻で出てきた前畑滋子、有馬義男、塚田真一が4巻でようやく再登場。
はいここからネタバレ注意。
浩美のマンションから身元不明の被害者達の写真などが発見される。警察は一連の事件は浩美と和明の仕業と認める。
それを受けて、滋子は浩美と和明犯人説でルポ記事の連載開始。
和明の妹・高井由美子は兄の無実を主張して、滋子に接触。
そんな由美子に近づくピース。
由美子は連続殺人事件の被害者達の会合に現れて騒動を起こす。
その結果、由美子はピースに依存し、滋子と袂を分かつ…。
ここまでが第3巻。
話の見所としては、
・塚田真一と樋口めぐみの対決、第2ラウンド
・前畑滋子と有馬義男の対決
・武上刑事の「人が事実に向き合うこと」に対する講釈
あたり?
真一とめぐみの1回目の対決は、真一がめぐみに向き合わず逃げ出して終了。
今回はめぐみと直接対決するも、めぐみの口撃で危ないところを水野久美に助けられるわけで。
ちゃんと言葉でめぐみに反論できない真一は、まだ自分の中で自分の行動とそれがひきおこした結果について冷静な判断ができない状況。
真一がこの巻で有馬義男と出会って、少しずつ変わっていく点に注目。
滋子は滋子でこの事件のルポを書く意義について悩みや迷いが出てくる。有馬義男からの「あんた誰のためにルポなんか書いてるんだね?あんたの目的は何なんだね?」に上手く答えられない。
そのあたりの葛藤なんかは、わりとリアルなかんじ。
商売としてルポを書くってそういうことだろうと思う。
武上刑事が部下の篠崎刑事に「人が事実と真正面から向き合うことなんて、そもそもあり得ないんだ」という話をするくだりも含蓄のある話。
事実は1つ。でも、その事実に対する解釈は人の数だけある。
そうなんだよねー。だからややこしいんだよ。
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宮部みゆき「模倣犯」文庫第3巻感想
ネタバレ注意!
3巻目は栗橋浩美と高井和明が事故死するまで。
連続女性殺人を犯し続ける栗橋浩美と網川浩一(ピース)は、高井和明に犯行を知られてしまう。
そのため計画を変更。最後の殺人の後、今までの自分達の罪を全て和明にかぶせることにする。
和明は浩美とピースに呼び出され捕まってしまう。
車に最後の犠牲者の死体を乗せ、浩美と共に死体を遺棄するための場所に向かいながら説得を続ける和明。
和明の説得を聞くうちに、ピースの計画には綻びがあることに気づく浩美。「オレは…逃げられないじゃないか」。
動揺と錯乱のうちに、車は山道から転落。浩美と和明の死。
ピースはこのまま逃げ切るのか!?というのが第3巻。
主にピースが計画して、浩美が実行していた一連の事件。
最初に浩美が犯してしまった殺人2件を隠すために、連続殺人事件を起こそうと提案したのがピース。
「悪を体現したい」というピース。どうみても中2病だよ、ピース

作中のピースの年齢設定が29歳だったかな?いいかげん中2病は卒業してもいい年頃だよ。
和明が浩美もピースも子供みたいだといっていたけれど、全くその通り。
警察は犯人が2人組だというところまでしか行き着いてないんだから、このままじっとしていればピースは逃げ切れるはずだった。
けれど、ついつい世間にしゃしゃり出てしまうあたりも中2病。
こうやって他人事としてみていると、重度の中2病は早く治すべきだと実感できるね

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宮部みゆき「模倣犯」文庫第2巻感想
- 文庫版宮部みゆき「模倣犯」第2巻感想。
文庫第2巻は犯人・栗橋浩美の話。
えっ、まだ2巻なのにもう犯人わかってるの?ってそうなんですよ、お客さん。
だから「模倣犯」は犯人当ての探偵小説じゃないよ。本格推理小説と勘違いしてた人がいたら、ご愁傷様。
栗原浩美の子供時代から始まって、彼の抱える心の闇の説明。
浩美の幼馴染の網川浩一(あだ名:ピース)、高井和明。そして高井和明の妹・高井由美子の登場。
浩美が連続殺人を犯すようになったきっかけ、ピースとの関係。
1巻で有馬義男視点で見てきた一連の事件が、浩美の立場から語られる。
幼馴染の浩美の犯罪に気づいて、なんとか止めたいと苦悩する和明。
ちなみにこの第2巻で網川浩一と栗橋浩美が日高千秋ほか数名の女性を殺す情景が描かれてるけど、ここで「胸糞悪い!」と放り出して続きを読まないと「後味が悪いだけの作品」という印象になると思う。
腹が立てた人も、5巻まできっちり読むべし。
5巻のラストでようやく溜飲が下がるようにできてるストーリーだから。そこまで読まないとエンターテイメントじゃないんだよねー。
あのね、先日「お化け屋敷プロデューサー(妙な肩書きだよね)」の本を読んだんだけど、お化け屋敷ってこわいだけじゃだめなんだって。
こわいだけじゃ、エンターテイメントとして成り立たないって。
「怖くて」「楽しい」この2つがないとダメなんだって。
「模倣犯」もまた小説というエンターテイメントの一つ。
ということは、殺人を犯す人間に対する恐怖や怒り、残された者たちの悲しみ。そんな感情を味わいつつ読みすすめていって、最後には犯人は罪が暴かれるシーンで「ざまーみろ!悪は栄えない!」的な喜びを味わえるのが小説の楽しみだと思う。
リアルだと迷宮入りしちゃうこともあるもんね…

そしてお化け屋敷もそうだけど、作りがチャチなお化け屋敷だとなんだか馬鹿にされたような気になるというか、キャーキャー言ってる自分が恥ずかしくなるときがあるよね。
安っぽい作りの小説だと、やっぱり心は動かない。
だから「模倣犯」第2巻で「なんてひどい!」と思ったなら、それは露悪的趣向というよりは最後の一撃のために必要な事。
ここは我慢して読みすすめよう!
宮部みゆき「模倣犯」文庫第1巻感想
- 宮部みゆきの「模倣犯」読了。
- 単行本が上下巻だったから、文庫だったら3巻くらい?と思ってたら、なんと5巻もあった。
文庫とはいえそれぞれわりと厚みがある5巻分。
読書感想文を書くつもりなら、内容をしっかり把握して自分の見方で再構築する必要がある。
つまり熟読する必要がある。ということは何度も読み返しが必要になる。長編だと重要ポイントだけ読み返すのも一苦労。
その点は最初から考慮するべき。
宮部みゆきはわりとさくさく読める文章だと思うけど、「模倣犯」は社会派の内容で重い。だから大人でも読了までにそれなりの時間がかかる。
- 夏休みは長いようで短いんだよ!やめとけ!読書感想文は短編で書け!
そんな話は棚上げして、とりあえず「模倣犯」第1巻の感想。ネタバレ満載なので、未読者は見ないように。
「模倣犯」1巻目はメインの登場人物の紹介と、連続殺人事件の発覚とその主犯格とみられる2人が交通事故死するまで。
公園で発見された腕。失踪した女性のバッグ。
それらは別々の人間のものだと知らせる犯人からの電話。次々と見つかる女性の死体。
被害者の家族の心を弄ぶような電話をかける犯人。
偽の「犯人T」が出演するテレビの公開番組に電話をかけて「それは偽者。真犯人は自分」と公言する真犯人。
ようやく犯人は2人組だということがわかり始めた時、犯人とみられる2人が交通事故死。
ここまでが1巻の内容。
メインの登場人物は複数いるので群像劇になるのかな。
<主要人物1>
前畑滋子:32歳。既婚者。子供なし。
連続女性失踪事件から始まる殺人事件の記事を書く女性ライター。
この事件にかかわる記事を書くまでは、女性誌のコラム記事などの仕事が多い。
女性失踪事件に関する事を調べている間に、それが殺人事件に発展。
この事件を仕事の転機…もっとはっきり言うとチャンス的に捉えている感あり。
良心と仕事への野心に揺れる女性。
ひょんなことから塚田真一を同居させることになる。
<主要人物2>
有馬義男:とうふ屋の頑固オヤジ72歳。
連続女性殺人事件の被害者・古川鞠子の祖父。
失踪中の孫娘は殺人事件の被害者になっていた。
知らせをもたらした刑事の不手際で、娘の真智子は交通事故に会い入院中。
<主要人物3>
塚田真一:17歳高校生(物語の途中で休学)。
今回の連続女性殺人事件とは別件の一家殺害事件で両親と妹を失う。
両親の友人の石井夫妻に引き取られる。
彼がゲームセンターで口にした不用意な一言が一家殺害事件のきっかけにもなっており、
一人生き残った事とともに罪悪感をぬぐいさることができない。
加害者の娘・樋口めぐみに「父が罪を犯したのは、真一にも責任がある。父親の減刑嘆願書に署名しろ」とつきまとわれる。
ひょんなことから前畑滋子の家に同居して、連続女性殺人事件のルポに関する手伝いをすることになる。
この3人の視点で状況が語られることが多いので、この中の誰かに感情移入して読み進んでいくとわかりやすいかも。
この本で読書感想文を書く高校生はいないと思う。無謀だと思うけど、書くつもりなら塚田真一視点で読むべし。もしくはそのガールフレンドの水野久美で。
なぜって?だってさー、高校生が32歳のオバサンや72歳のおじいさんの行動や考え方に共感した!というのも妙だから。
自分ではわかったつもりでも、理解し切れてない部分があるのよ。高校生だとね。
大人は子供の気持ちに戻ることはできるけど、子供は本を読んだだけじゃ年はとれない。
だから下手に背伸びしたようなことを書くより、高校生視点で書くべし。
宿題の読書感想文は立派なことを書くためにあるんじゃないのさ。
真一視点で書くなら、
・真一はなぜ両親と妹が殺された事件について罪悪感を抱いているのか?
・自分が真一の立場だったら、両親と妹が殺された事件について自分の責任をどう考えるか?
・樋口めぐみの「めぐみの父親には罪はない」という主張をどう思うか?
・自分だったら、樋口めぐみにどう対処するか?
あたりを考えながら読んでいくといいと思う。
真一にとってこの物語は、一家殺害事件のきっかけになる行動をしてしまったことへの後悔から開放されるためのきっかけをつかむ物語。
真一VS滋子
真一VS義男
真一VSピース
真一VS水野久美
真一VS樋口めぐみ
真一の場合はこんなかんじの絡みが多いので、会話を要チェック。
義男との会話は特に重要

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ミステリーは学校の読書感想文に向かない題材
なんかネットでいろいろブログを見てたら、森博嗣の「すべてがFになる」で読書感想文を書いたツワモノがいるらしい(以下ネタバレ含みなので未読者は読まないで)。
読書感想文といっても、ブログで「面白かったー」とか個人的な感想を書いちゃってるようなものじゃなくて、学校の宿題の読書感想文。
あのさー、学校に提出する読書感想文のお題にミステリを選ぶのはいただけないよ。
ありえん。
だって学校に提出する読書感想文って、単なる読書レビューじゃないんだよ。
読書感想文って何のために書くと思う?ちょっと考えてみた。あくまでも個人的な意見だけどね。
思うに、以下の2点がメインの目的。
・その本を読むことによって何を感じたか?=読み手の主観を書く
・本の感想から、あなた自身の人間像を描くため
ちょっとわかりにくいかもしれないけど、同じ本を読んでもみんなが同じ感想を抱くわけじゃない。
学生なんて似たような人生を送っているように見えても、個々人の体験は違う。
そして感じた事の表現方法も違う。
「本の感想を通じて、自分自身を表現する」これが読書感想文の目的なんだと思う。
そして読書感想文の主な読み手である先生達の目的は、読書感想文を通じて生徒達の精神的な成長度や国語力(読解力や表現力)を見ること。
この読み手(先生)側からのニーズも押さえておくべき重要な事。
だから、あらすじのまとめでも、レビューでもないんだよね。読書感想文って。
これを考えると、ミステリで読書感想文を書くのはマズイ。とってもマズイ。
なぜなら、ミステリの題材には犯罪が含まれてるから。泥棒とか詐欺とか殺人とかね。
例に挙げた森博嗣の「すべてがFになる」なんて密室殺人モノ。
美人天才工学博士・真賀田四季サイコー!をメインテーマに読書感想文を書こうものなら、学校の先生も問題生徒が発する何らかのサインってやつかも!?と疑惑の目を向けてきそう。
殺人事件の感想が殺人者賛美になっていれば、そう思われても仕方がない。
そう、学校の読書感想文は先生のために書くものなんだから。読み手を意識するというのは、文章を書く上でとても大切な事だと思う。
じゃあ四季批判・犯罪批判をメインテーマにすると、正論過ぎて人間的な面白みに欠けてる気がする。だってミステリはフィクション(虚構)でなおかつエンターテイメント。
「エンターテイメント用の虚構を虚構として楽しめない人」ってどうなの?って話。真面目すぎて堅物すぎてちょっととっつきにくい。
つまり、どの切り口で書いても、浮かび上がってくるのはイマイチよろしくない人間像。
ようするに「ミステリ」を読書感想文の題材に選んだ時点で、負けが決まってるようなかんじ( ̄Д ̄;;
だからミステリで学校の宿題の読書感想文を書くのはよくないw
やっぱり純文学で書くべきだよ、学校の読書感想文は。
