救急車が到着しました。

ご家族は近くにいますか?
主人は仕事で◯県へ行っています。
私の実家は東北ですので、両親もそこにいます。
主人の両親が一番近いですが、車で一時間ほどかかると思います。高齢ですし、連絡はしたくありません。


じゃあ、一応ご主人さんに連絡しようか。

主人に連絡すると、心配そうにわかった。
出来るだけ早くそっちに戻るから、娘ちゃんのこと心配しなくていいからね。と。

救急車に乗せられ、身体中にペタペタつけられ、話しかけられる。
救急隊員の方が何度も右手を乗せてくれるが、だらりと下に下がってしまう。
右手がおかしい。自分のものみたいじゃない。
力が入らない。

救急車に警察官が乗り込んできた。
身分証を見たいというので、カバンから財布を取ってもらい見ていただく。
相手のお名前知っていますか?
お知り合いだから心配ないとききましたが、
連絡先の交換くらいはした方がいいと思います。
若い警察官の方が、彼女の名前と電話番号を書いた紙を私のスーツのポケットに入れてくれた。
まもなく救急車は走り出した。
頭は打ってないので、総合病院ではなく救急も受け入れている設備の整った整形外科に運ばれた。
救急車のストレッチャーはかたい。道路からの衝撃がかなり伝わる。
涙が流れてしまう。私がしっかり歩けていれば、この救急車は別の病人を運ぶことができるのに。
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
でも、こうするしかなかった。

あっという間に病院に着いた。痛いとこをレントゲンで撮っていく。
痛み止めと湿布、今後の治療についての説明をされる。

待って待って…通院って何?仕事に迷惑かけちゃうじゃん。まだこの時は待ち受ける苦痛を私は知りませんでした。