ダウン症の方でも、時々、街中で1人で歩いていたり、公共交通機関を利用していたりする姿を見かける。知的障害の度合いは人それぞれだ。乗り方を覚えてしまえば、電車やバスに1人で乗れる方も少なくない。


他方でりーちゃんは、近い場所でも1人で歩かせるのはかなり不安である。やったことがないので、やってみたら意外に大丈夫なのかもしれないが、自宅周辺は交通量も多く心配だ。


それでも、いつか1人で行動することがあるかもしれないと思い、横断歩道を渡る時は手を挙げることを習慣にさせてきた。その甲斐あって、中学生となった今も自ら進んで手を挙げる。


先日、スクールバスの集合場所まで歩いていた際、手を挙げて横断歩道を渡るりーちゃんに、「そうそう、偉いねえ」と声をかけていたダディ。すると一緒に歩いていた1学年上のお兄ちゃんも手を挙げて、「りーちゃんパパ、こうですか?」とりーちゃんに合わせてくれた。もちろん、「そうだね〜、偉いねぇ〜」とお褒めしたのは言うまでもない。


こうした習慣づけのおかげで、オーストラリアに行った時も、横断歩道で手を挙げていたりーちゃん。むしろ手を挙げなければ歩けない、くらいになっているのかもしれない。


さて、ダンス教室の帰りに、よく立ち寄るコンビニの前でのこと。ここでアイスクリームを買うことが多いのだが、その時はマミが向かいのドラッグストアに行っていて、りーちゃんとダディ2人でのお買い物だった。


りーちゃんは張り切ってカゴを持ち、アイスを二つ取り出し、レジへと持って行った。ダディが支払を済ませて、2人で店を出た時のこと。りーちゃんを車に乗せようと振り向くと、姿が見えない。


あれ?と思って反対側を見ると、りーちゃんがコンビニ前の横断歩道を、手を挙げて歩いているではないか。横断歩道といっても駐車スペースの間にある、ここには車を停めないでね、という部分なので、通りを横断したわけではない。


ダディもびっくりして、「りーちゃん、こっちだよ」と声をかけると、どうしても横断歩道の端まで歩きたかったらしく、手を挙げたまま小走りで歩き切ったりーちゃん。そこで急転回して、車の方に来てくれたのだった。


その姿がなんともコミカルでかわいくて…(いつもの親バカ発言、どうかご容赦ください)。普段から、りーちゃんが手を挙げて横断歩道を渡る姿を、両親はいつも「かわいい」と言い合ってしまうのだが(親バカの2乗で恐縮です)、このときはかわいさに拍車がかかっていた(3段重ねの親バカ、つける薬はありませんな…)。


これだけ手を挙げて横断歩道を渡ることができるのなら、1人で外を歩かせても大丈夫だろうか。考えてみれば、過去3度あった脱走でも、事故には遭わなかったりーちゃん。親が離れたところから見守りつつ、やってみましょうかねぇ。