春休みになり、午前中からデイサービスに通っているものの、朝の出発時間は普段よりもはるかにゆっくりなりーちゃん。しかし、だからと言ってトラブルが皆無かというと、そんなはずはないりーちゃん一家である。

 

我が家には随分前からいわゆるコーヒーマシン(カプセル式のもので1杯ずつ抽出される)があり、マミもダディもかなり愛用している。数年前まで初期タイプの大型のものを使っていたが、お手軽な価格で小さなタイプが売り出されたので、そっちに買い替えた。現在のマシンが2代目ということになる。

 

毎朝のように、両親がそのマシンを使ってコーヒーを飲んでいるのを見ているりーちゃん。最近はいろいろなことを手伝おうとする(これが意外に迷惑度は少なく結構助かっている。意外に、と言っては失礼だが)ので、コーヒーについてもお手伝いしてくれることが増えた。所定の位置にカップを置き、カプセルをセットして、ボタンを押せばコーヒーが注がれる。お水さえ補充しておけば簡単なので、我々もりーちゃんにやる気がある時はやってもらっている。

 

ところでこの半年くらい、どういうわけかマグカップが割れることが多かった。そのためコーヒーマシンにピッタリ合うカップが減ってしまった。カップの幅よりも高さが問題で、高いカップは斜めに置かないと抽出口に合わないのである。やや不安定ではあるが、揺らしたりしない限りはそれでもちゃんと注がれて、何ら問題はない。

 

この日の朝、りーちゃんはコーヒーをお手伝いしたくて仕方がなかった。ふと見るとちょうど良いサイズのカップがなく、仕方なく高さのあるカップを斜めに設置した。ところがりーちゃん、これがとっても気に入らない。「うぅう~」「うーう!」と言ってカップを取り除き、ちょうど合う高さのカップを置くよう要求する。「こわい~」とも言っており、斜めだと倒れるような気がして怖いのだろうか。「大丈夫だよ、それでも触らなければちゃんとできるよ」と言ってもなかなか受け入れない。

 

仕方ないので半ば強引にボタンを押して、カップを押さえてコーヒーを抽出してしまうダディ。するとりーちゃんも引き下がる。コーヒーは熱いのを知っているのだ。もちろんダディもそれを狙って、「ほら、熱いよ、危ないよ」と伝える。りーちゃんは不服そうだったが、1杯目はダディの作戦の前に無事注がれたのだった。

 

続く2杯目もやはり斜めに置かなければならないカップで、今度はりーちゃん、不服を言わずにコーヒーが注がれる様子を見ていた・・・と思いきや、コーヒーの注がれる勢いに文句を言い始めた。「あれ、なんか、こわれてるぅ?」と言いながら、マシンをペンペンと叩いたり、グラグラ揺らしたりし始めたのだ。それをやられるとカップが倒れそうなので、慌ててカップを抑えるダディ。「大丈夫だよ、これでいいんだよ」と言って説得して、なんとか事なきを得た。

 

マミとダディの推測ではあるが、りーちゃん、2杯目の時になんだかんだ理由をつけて反撃をしようと試みたのではないか。「揺らしたら倒れるんじゃないの?」とか、「こうしたらダディは慌てるんでしょ?」みたいな。「りーちゃんもよくわかってるねぇ」と意外なところで感心したマミとダディ。いや、感心している場合ではないか。