ばあばを偲ぶ今回の伊豆旅行は1泊だけだが、泊まったホテルの夕食、朝食はいずれもバフェット形式。りーちゃんは食べるの大好きなので、いつもホテルでの食事を楽しみにしている。
事前にはうどん食べたい、そば食べたい、などとのたまっていたりーちゃん。実際に食事会場に入ると、うどんもそばもなかったが、マミと一緒に美味しそうな刺身やお寿司、静岡おでんなどなどをたっぷりとお皿に乗せてきたのだった。
各々の食べ物の準備ができたので、ばあばの写真をテーブルに据えて、みんなで献杯。マミのお姉さんの子どもたちは20代の男子2名、女子1名なので、りーちゃんのお兄ちゃん(高校生)と4人で食べ盛り。若者同士、話が盛り上がり、特にお兄ちゃんにとってはこれから進学する大学の話、アルバイトの話など、大変参考になったようだ。
りーちゃんはいつものように黙々と食べている。マミとダディがりーちゃんに確認しながら食べ物を持ってくるので、りーちゃんは動く必要がない。それでも自分でやってみたいようで、時々立ち上がっては、お目当ての料理の前に行って、お皿に盛りつけようとする。そのたびにマミとダディが付き添い、横入りしたりこぼしたりしないかどうか、目を見張っているのである。
ここのバフェットで珍しかったのは、サザエのつぼ焼きが食べ放題だったこと。家族旅行で何度かバフェットは経験しているが、サザエがあるのは珍しいのではないか。後から気がついたのだが、ホテルの目の前にもサザエを売りにしているお店がいくつかあった。周辺の海でよく獲れるのだろう。
さて、好き嫌いのないりーちゃんは、貝類も大好き。もっとも、サザエはこれまでにほとんど食べたことはなかったと思う。ダディがりーちゃんに「食べる?」と尋ねると、無言でうなずくりーちゃん。ダディが中身を取り出して、りーちゃんのお皿に置くと、りーちゃんは躊躇なく頬張ったのであった。どちらかというと大人の味だと思うが、平気なようだ。
よほど美味しかったのか、りーちゃんは次を要求。先ほどのものよりもちょっと固かったのか、咀嚼しきれずに今度は口から出してしまった。しかし、ここからのりーちゃんはサザエの楽しさを知ってしまった。マミやダディが中身を取り出そうとすると、「あ、やるよ」と言って自分でやろうとする。しかしなかなか取り出せないので、ダディがフタの部分を少し浮かせて取り出しやすくなったサザエを与える。するとりーちゃん、わざわざ浮いているフタを押し込んでから、中身を出そうとするのである。
どうしてもスタートラインを同じにして、中身を取り出してみたかったのだろう。ところがなかなかうまく行かないので、怒りだしてしまうりーちゃん。「うーう!」と怒りの声をあげ、しまいには自分のフォークで、サザエの貝殻の部分をガンガンとつつき始めた。りーちゃん、それでは一生、中身は出てこないよ・・・。そんなりーちゃんを見て、一同は大爆笑であった。
結局サザエは、食べることより中身を出すことが楽しかったりーちゃん。世の中にはいろんな食べ物があるということを学ぶ、良い機会になっただろうか。ばあばも大いに笑ったことでしょう。
目の前に海が広がるホテルでした
