(前回までのあらすじ:マミの出張について行ったりーちゃんとダディ。マミの会社の方々や小学生の男の子と一緒に、カニをたらふく食べ、水族館で楽しんだ。)
突然ですが、「丸岡城」というお城を知っている方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか。ちなみに我々が訪れた時は、閉館時間間際のせいか、他のお客さんはいませんでした・・・。
ダディは北陸に行くことが決まってから、何らかの歴史建造物を見に行きたいと思っていた。しかしマミの会社の方々や小学生のお子さんも同行するので、1か所だけ、それも皆さんが楽しめるところが望ましく、悩ましいところだった。
福井県であればやはり永平寺とか、戦国時代の城郭都市である一乗谷などに行ってみたかったが、悪天候で寒くなるし時間も限られているということで断念。いろいろ調べて丸岡城に行きついた。国内で江戸時代以前に建てられた天守閣が残っているのは12城のみで、その一つなのだという。北陸地方では唯一とのことだ。
丸岡城の現存天守は安土桃山時代に建てられたものという説もある中、近年の調査では江戸時代初期だと判明したとか。それでも400年ほど経っていることになり、そのような木造建築が自然災害や戦争、火災などに耐え続けて残っているのは、とても貴重なことだろう。りーちゃんにとっても、そんなに古い建物に入るのは初めてのことである。
駐車場からは天守が見えず、小山の上にあるということで、創建当時の実用性の高さがうかがえる。りーちゃんでも何とか城まではたどり着ける石段で、雨の中一生懸命登ってくれた。さらにお城に入る石段は昔のままなのか手すりがなく、ダディの手だけを頼りに懸命に登るりーちゃん。なぜか嫌がることはなかったが、みんなと一緒に行きたかったのだろう。
お城の中は3階まであり、上階に登るには60数度という角度の、大変急な階段を登る。ロープがつないであってそれにつかまりながら昇降するのである。ここでもりーちゃんはチャレンジ。ゆっくりではあるがなんとか2階まで登ったのであった。さすがに最上階に行くのはやめておいた。
一般的なお城だと、内部に様々な展示がしてあるのが通常だと思うが、ここは歴史的価値が高いためか何もない。でもそれが逆に、当時の城の「らしさ」を伝えてくれていた。
さて、登ったということは降りなければならない。これがりーちゃんにはハードルが高かった。降り方がわからないのである。ロープだったり壁だったり、いろいろなものにつかまりながら降りようとするりーちゃんだが、うまく行かない。みんなが降りて下から見守る中、注目されていると勘違いしたのかなぜか大笑いするりーちゃん。でもダディやマミが手伝おうとすると、怖くて拒否し、「うーぎゃ!」と大声をあげててしまう。
400年前の建物そのまま、ということで内部にはエアコンなどなくとても寒い。皆さんには先に車に戻ってもらって、マミとダディだけ残った。もう閉館時間も過ぎていたが、幸いなことに係のお兄さんは笑顔で見守ってくれている。試行錯誤の結果、何とかコツをつかんでようやく降り始めたりーちゃん。それでも1段降りるのに何分もかかって、鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら降りたのだった。
係の方に何度も御礼を言って、さらに雨に濡れながら駐車場までたどり着いたりーちゃん。マミとダディは、「りーちゃんにとってはアスレチックだったねぇ」と苦笑いである。お城の皆様、本当にご迷惑をおかけしました。見守っていただきありがとうございました。
マミは一瞬、「このまま城に泊まることになったらどうしよう」と思っていた。最近、他のお城では天守閣に泊まれる企画なども行われていて、たしか1泊100万円くらいだったような・・・。りーちゃん、危うく実力行使で城に籠城するところでしたなぁ。
こじんまりとしていますが、立派な建物でござりまする。
この階段は大人でも大変。

