りーちゃんは11月からスクールバスの集合場所まで歩いて行けるようになった(それまでは自転車だった)。その後も順調にほぼ毎朝歩いているが、時々遅刻しそうになると自転車や車を頼ることもある。
毎朝のようにちゃんと歩いて行けるようになり、しかも、しゃがみこんだりして動かなくなったことはまだ一度もない。りーちゃんも随分と成長したねぇ、とマミとダディはりーちゃんのことを誇らしく思っていたのだった。
そんなある日、ついに我が家はやらかしてしまった。ダディが目を覚ますと、隣のりーちゃんがすでに起きていてジャレジャレしたがっている。今日はりーちゃん、早起きだなぁ、などと思っていたダディはあまりにのんきだった。ふと時計を見ると、もう家を出なければいけない時間ではないか。あまりのことに、時計が1時間進んでいるんじゃないかと思ったくらいだった。
マミも寝ていたのですぐに起こして、学校とバスに連絡する。こうなっては仕方ないので、慌てずに準備して車で学校まで送ろうということになった。りーちゃんにきちんと朝食を食べてもらって、洋服選びをさせ、歯磨きもしっかりして、通常より1時間遅れくらいで学校に到着したのだった。
思えば入学前、支援学校はスクールバスでの通学であり、集合時間を過ぎるとバスは出発してしまう(ほかの集合場所でのピックアップ時間が決まっているため)、と聞かされていた時点で、マミとダディは覚悟していた。「間に合わなくて学校まで車で、ということがあるだろうねぇ」と。
しかし両親のネガティブな予想をよそに、入学してから8カ月くらいの間、そのようなことは一度もなかったのだ。ずぼらな我が家(というか、ずぼらな夫婦。子どもたちを巻き込んではいけませぬ)にしてはとても優秀な8カ月だったのである。
そういえば目覚ましを止めちゃって、二度寝に入っていたんだなぁ、と反省するダディ。もはや慌てる必要もないし慌てて事故を起こしても困るので、慎重な運転で支援学校までりーちゃんをお連れしたのだった。
学校について、上履きのある昇降口を目指したはずのダディだったが、違う方向に入ってしまい、りーちゃんを連れて学校をぐるりと一周させてしまった。「まあいっか。お散歩だね」などとのんびり歩いていると、イチョウの落ち葉がたくさん。「サクサク音がするねぇ、落ち葉いっぱいだねぇ」とりーちゃんに話していると、ばったり担任の先生に遭遇。「良かったぁ。どこに行っちゃったのかと思って。すぐに出て来なくてすみません」と言わしめてしまった。いえいえ、こちらこそ、遅刻した上に学校内で迷ってすみません。
立て続けに「体調不良でしたか?大丈夫ですか?」と聞かれたので、もはや弁解の余地もなく「すみません、寝坊です」と正直に答えたダディ。さすがにちょっと恥ずかしいので、朝はちゃんと起きてりーちゃんをバスに乗せなければ、と決意を新たにしたのである。
ということで、タイトルは「りーちゃん、大遅刻」となっておりますが、やらかしたのはあくまでマミとダディなのでした。りーちゃん、ごめんねぇ。