10月に同じタイトルで、スーパーで暴れるりーちゃんの様子をお伝えした。

 

しかしその後、スクールバスの集合場所まで歩けるようになったり、台所でのお手伝いを今まで以上にできるようになったり、さらには生まれて初めてワンチャンに触れるようになったりと、大いに成長したりーちゃんである。

 

もう、これまでのりーちゃんとは一味違うはずだ。

 

ということでこの日、比較的近所のショッピングセンターに行き、フードコートで夕食を食べたりーちゃんとその両親。うどんの大盛りと海老天だけでは足りず、ダディの焼きそばもしっかりと食べたりーちゃん。相変わらずの食いしん坊ぶりである。

 

ここまで、ショッピングセンター内の移動等を見ても、りーちゃんはなかなかお姉さんだった。いつもなら自動販売機の前でジュースを欲しがるなど、何らかの小さなトラブルが挟まるのだが、この日はそれもなかったのである。

 

夕食を食べ終わりそうになった時、りーちゃんがふとつぶやいた。「ぷられーる、いきたい。」この施設の中に大型の電気店が入っていて、そこのおもちゃ売り場は充実している。久しく行っていなかったが、プラレールやトミカの展示はあるはずだ。

 

最近のりーちゃんは一味違うはずなので、ダディは一つ、りーちゃんと約束をすることにした。「りーちゃん、行ってもいいけど、『もう帰るよ』と言ったら帰るよ。お約束できる?」りーちゃんはなかなか歯切れのよい返事をしない。何度か言い聞かせた後、ようやく「うん」と言ったようだったので、それを信頼して「約束だよ、守れるね」と何度も念を押した。

 

おもちゃ売り場ではやはりプラレールとトミカのサンプルが置いてあって、遊べるようになっていた。すでに二人の男の子が遊んでいて、二人ともりーちゃんの半分も体重がなさそうな小さなお子さんだったが、構わず遊び始めるりーちゃん。もっとも、お友達が遊んでいるおもちゃを奪ったりすることはまずない。目は離せないが、ダディも周辺で興味があるものを見たりしていた。その間、マミは別の店に行っていた。

 

マミが戻り、ダディが入れ替わりでトイレに行き、ダディも帰ってくると、いよいよ帰る時間である。「りーちゃん、帰る時間だから帰るよ。おもちゃはお終いしましょう」と言われて、一瞬りーちゃんもうなずき、その場を離れようとしたように見えた。

 

しかししかし、りーちゃんはそこから粘り始めたのである。「これで最後ね」「それを置いたら行くよ」などと言う両親と、無視して遊び続けるりーちゃん。何度もやり取りが続き、いよいよダディが強制排除しようとすると、「うーぎゃ!!」と奇声を上げて抵抗する。こうなるともう言うことを聞かない。仕方なく最後はダディが抱きかかえ、りーちゃんもようやく諦めた。

 

その後、車の中でも「お約束したら守らなきゃだめだよ。でないともうおもちゃのところ行けないよ」と話して聞かせるが、そう言われるとダディの手をたたくなどして、なかなか頷かないりーちゃん。すぐには納得できないようだ。それでもしばらくすると、運転するダディの両肩に後ろの席から手をかけて「ごめんね」と言ってくれたのだった。

 

お家に帰って来てからも、ふろ上がりに「I'm sorry.」とダディに言っていた。「そんなに謝らなくていいよ。でも次は約束を守ろうね」と言われて、すぐにではないが、何回めかに「はい」と静かに答えたりーちゃん。やっぱりこうした言動は、今までとは一味違うのかなと思う。

 

人の成長と言うのは、右肩上がりに一直線になるものではなく、上がったり下がったりをしながら徐々に成長していく、ということはよくわかっているつもり。ましてや「ゆっくり成長する」と言われているダウン症児のりーちゃんである。マミもダディも、わかってはいるんですけどねぇ・・・。