りーちゃんにとって、「時間」という概念は、なかなか理解するのが難しいようだ。

学校やデイサービスでは時計の読み方を習っているようで、実際に自由帳などにも時計の絵が描かれていることもある。しかしりーちゃんは、時計を読むことはできないし、時、分、秒といった単位もよくわかっていない様子だ。

朝、学校に行く支度に追われている時、りーちゃんがなかなか朝ごはんを食べてくれないこともある。そんな時、時計を見せて、「この10のところになったら、歯を磨くよ」などと言って聞かせるのだが、なかなか理解してくれない。

同様に、年、月、週、日といった単位も理解できていない模様。そのせいか、時間を表す言葉としては少し前までは「きょう」しか言わなかった。以前のブログでもご紹介したが、りーちゃんは「きょっ」と言い、「きょっきょっきょっきょ」などとふざけて笑っている。

りーちゃんにとっての「きょっ」とは、現時点以降の未来のすべてを指すものだと思われる。例えば、今夜の夕食はりーちゃんの好きなスパゲティだよ、と朝のうちから伝えておくと、日中に「きょうは、すぱげてぃよ」などとおもむろに発言したりする。他方で、数週間後や数か月後に旅行を計画していて、りーちゃんに、「今度、旅行に行くよ。ホテルに泊まるよ」と吹き込んでいると、じきにりーちゃんが「きょっ、ホテルよ」と言い始める。楽しみにしているようで毎日のように言うのだが、実際に行くのは数週間あるいは数か月先のことなのだ。

嬉しいことに、最近になって、りーちゃんの辞書に「きのう」が加わった。「きょっ」しか知らなかった頃に比べれば格段の進歩だ。楽しかったことなどがあると、「きのう、○○したねぇ」とか、「きのう、○○ちゃんいたねぇ」などと話すようになった。りーちゃんにとっての「きのう」は、現時点よりも過去のことすべてを指すものだと思われる。なので、実際には何日も、何週間も経っていても、「きのう、おきなわいったねぇ」「たのしかったねぇ」「ニモ、いたねぇ」などと、楽しかった思い出を、まさに昨日のことのように話してくれるのだ。

このようにりーちゃんの時間についての言葉遣いは、実際とはズレがあるため、時々面白いことを言う。先日、ダウン症の子どもたちの会に親子で出席した時のこと。お互いに良く知らない参加者もいるので、名前のシールを貼るのだが、「お名前は?」と聞かれたりーちゃんは、「きょうは、りーちゃん(※実際には自分のフルネーム)よ」と答えた。いや、明日も明後日もその先も、ずっとりーちゃんなんですけどね・・・。

それがちょっと面白かったので、ダディは帰宅後もりーちゃんに「お名前は?」と聞いていたのだが、聞かれるたびにりーちゃんは「きょうは、りーちゃん」と答えていた。

ただその一方で、赤ちゃんが大好きなりーちゃんは、赤ちゃんと触れ合えたことがとても楽しかったらしく、「きのう、○○くんいたねぇ」とその後数日に渡って話していた。

そのうち、「明日」とか、「先週」「来週」などの概念も、理解してくれるようになるのだろうか。「きょっ」と「きのう」がわかるようになったのだから、「あした」くらいはなんとかなるかな、と期待しているマミとダディなのでした。