この日のりーちゃんの予定は盛りだくさんだった。早朝から2時間移動してお兄ちゃんと合流、4人でぶどう狩りに行き、さらには川辺でバーベキューという計画だ。

 

お兄ちゃんが大事な試験の一つを終えるタイミングに合わせて、予定を立てていた。進学のために重要な試験だった。進学は、なんとかなりますかねぇ・・・。

 

りーちゃんはぶどうが大好きで、実は2年前にも同じぶどう園でぶどう狩りを楽しんだことがある。お兄ちゃんは初参加だが、小さなころは好きな食べ物を「ぶどうとゴハン」と言っていたくらいだ。ぶどうをオカズにゴハンを食べるのではないかと誤解してしまいそうだが、ぶどうが好きなのは間違いない。

 

あえて何も言わずにいたのだが、帰りがけに「実は2年前に来たんですよ~」と話したら、案内してくれていたおじさんが「やっぱり!見覚えあると思ってたんだけど、違ってたら困るから言わなかったんだよ~」と笑っていた。前回もとても美味しくてりーちゃんも大満足だったので、リピートさせていただいたのでございます。

 

ちなみに昨年も来たかったのだが、「そろそろ行きたいねぇ」と言って調べた頃にはもうシーズンが終わってしまっていたのだ。相変わらずのんびりしている両親である。

 

さて、お兄ちゃんは部活をやっていて体重が急激に増えているので、さぞかし食べるのだろうと思っていたが、意外にも大したことはなかった。本人いわく、「お腹いっぱいというより、味に飽きてしまう」とのこと。それは確かに、マミとダディも同感だった。

 

結局、一番最後まで美味しそうに食べていたのはりーちゃんである。手や腕、服をべちゃべちゃにしながら、ゆっくりではあるものの、いつまでも食べ続けそうな勢いだった。日差しがあってみんな汗をかきながら食べていたが、りーちゃんは文句も言わずに黙々と食べていた。ぶどうをとる際にツルをハサミで切るのだが、それも楽しそうに自分で切っていた。

 

最近大人の階段を登りつつあるお兄ちゃんは、帰りの車の中で「これで農家は儲かるのかなぁ」と疑問の声をあげていた。確かに今回のぶどう狩りは、一人あたりの料金で言うと、スーパーに売っているぶどうの2パック分くらいである。それはおそらく、一人が食べられる量と同じくらいかもしれない。それでも農家から出荷する卸値はずっと安いだろうことを考えれば、農園さんとしても儲けは出るのだろうと思う。

 

しかし大人の階段を登っているお兄ちゃんも、ぶどうを食べながら衝撃の一言を発していた。「オレ、梅干しが好きだからなぁ。梅干し狩りってのがあったら、行ってみたいなぁ。」

 

・・・お兄ちゃん、梅干しが木になっていると思っていたのだねぇ。大笑いするマミとダディ。それにつられてりーちゃんも大笑い。お兄ちゃん、進学は本当に大丈夫なのだろうか。てゆーか、親の顔が見てみたいですなぁ。