りーちゃんは通常、新しい場所に行っても抵抗することはほとんどないし、初めて行く公園などでも何かで遊んでいると、放っておかれても全く問題ない。むしろ、その遊びに集中しすぎていると離れることができず、無理やり引きはがして帰るときなどは結構大変である。

なので、中学校に進学するということについても、環境の変化などそれほど気にしないのかな、とマミもダディも思っていた。しかし先日行われた支援学校とデイサービスとの3者会談では、そうではなかったのかもしれないと思わされた。

ことの発端はデイサービスで、昨年度の末、すなわち今年の2~3月ごろ、デイサービスの机の下にもぐったまま出て来なかったり、玄関付近で座り込んで全く動かないまま帰ったり、ということが続いていたらしい。2週間ほどの期間、毎日そんな状態だったそうだ。デイサービスの先生たちが心配して、小学校(当時はまだ6年生)の先生や専門家に相談するなどしてくれていたが、大きな改善は見られなかったという。

親としても報告は受けていたのだが、家でも帰ってくるなり居間で突っ伏して、そのまま寝てしまうなどすることもあったので、あまり気にしてはいなかった。他方でその年度末というのは、マミもダディも「卒業だね」「ちゅうがくせ になるね」「おねえさんだね」などとりーちゃんをあおっていた(?)頃である。

 

マミやダディから「○○せんせ(小学校の支援級の先生)とお別れだねぇ、さみしいねぇ」などの話もよくしていた。りーちゃん自身も「せんたー(小学校の支援級のこと)、もう、ない」などと寂しそうにつぶやいていたことも、確かにあったのだ。そうしたサインを見逃してしまっていた。

そしてついに支援学校(中学校)の入学式。以前にもご紹介したように、まさかのギャン泣きであった。しかしながらその後は、中学校での生活にもなじみ、毎日元気に過ごしていたようだ。支援学校の先生方は口々に「入学式は緊張もあったのでしょうね。今では嘘みたい」とおっしゃる。親としても一安心である。

時を同じくして、デイサービスでの座り込みや潜り込み行動も、新年度に入ってからは徐々に見られなくなっていったらしい。今では全くと言って良いほど、そうした行動はなくなったのだという。

こうした経緯を、3者会談の時に学校側の専門家の方が分析してくださっていた。おそらくりーちゃん自身の中で環境の変化に対する不安はあり、年度末に徐々に不安が大きくなっていって、大爆発したのが入学式だったのではないか、とのことだった。大爆発した後は、不安も解消されていったのだろうと。

かなり説得力を感じる分析だったので、マミもダディも納得して帰ってきた。りーちゃんは環境の変化をあまり気にしないと思い込んでいたが、実はそうでもなかったのだ。考えてみれば支援学校への入学は、小学校入学以来の一大イベントである。不安を感じないわけがないのだろうと、マミもダディも大いに反省したのでした。