りーちゃんは、「○○した?」と聞かれると、「もう、したよ」と常に答える。やっていてもやっていなくても、「やったよ」とか「したよ」と答える。

 

よくあるのが歯磨きだ。マミもダディも寝る時間や学校に行く時間になると、お互いに他方がやってくれたのかもと思い、「りーちゃん、歯磨きした?」と聞くことがある。その時に当のりーちゃんが「もう、したよ」「はみがき、したした」などと率先して答えるのだが、ほとんどのケースではしていない。

 

りーちゃんは基本的に歯磨きを面倒くさいと思っているようなので、そう答えるのだろう。このあたりは普通の子どもと同じだと思う。お兄ちゃんも小さいころは歯磨きは面倒くさがっていたし、高校に入って寮生活になったらさらに歯磨きをさぼって、一時は虫歯の数が10近くあった。

 

ちょっと別のケースでは、遠出した時のサービスエリアでのこと。建物の入り口近くに漬物屋さんがあって、やたらに試食を勧めてくる。マミもダディもりーちゃんも食べたのだが、りーちゃんはあまりおいしいと思わなかったようで、一口食べた後はこちらが勧めても、「もう、たべたよ」と言って一切、食べようとしなかった。

 

マミとダディはそれでも店の人に勧められるままに食べてしまい、買わざるを得なくなったのだが、その時点で初めて、500円と書かれている値段の表示が実は100グラム単位で、実際の販売は300グラム(だったかな。とにかく100グラムでは買えなかった)だということに気がついた。

 

つまり、買ったとしても1種あたり500円くらいかと思っていたら、実際には3倍の出費になったのである。これにはマミもダディも、「あの値段表示はないよね~」と後味の悪い買い物になった。と同時に、「りーちゃんの態度が正解だったねぇ」と感心した。試食はタダだからと調子に乗って食べてしまうと、痛い目にあうのだ。

 

「別のケース」の余談が長くなってしまったが、とにかくりーちゃんは、やってもいないのに「やったよ」と言うものだと刷り込まれていたマミとダディ。ある日、りーちゃんが妙に早起きをして勝手にお気に入りの服に着替えていたので、二人とも「お姉さんシャツ」を着ていないと思い込んでいた。

 

「りーちゃん、おねえさんシャツ着た?」と聞くと、「もう、きたよ」と答えるりーちゃん。瞬間的に、マミはりーちゃんの胸のあたりを見て、ダディは目の前のりーちゃんの背中を覗き見て、おねえさんシャツ着ていないと判断した。

 

「えー?着てないでしょ」と声をそろえるマミとダディ。早速服を脱がしてみると、なんと!着ているではないですか!「本当に着てたんだ~。ごめんね~」と再びハモる両親。しかし次の瞬間、「後ろ前だね~。ちょっと直そうね」ということで向きを修正。この一連のやり取りの中で、りーちゃんはおとなしく、されるがままで何も文句を言わなかった。

 

言い訳をすると、おねえさんシャツが前後ろだったことで、マミは胸のあたりにパッドが入っていないと思ったし、ダディは背中のかなり下の方まで地肌が見えたのでそもそも下着を着ていないと思ったのだ。二人ともその判断自体は、根拠はあった。ただ、りーちゃんはやってもいないことをやったと言う、という先入観ゆえに、間違ってしまったのだ。

 

2回前のブログでも書いたように、りーちゃんがあまりにおねえさんシャツを嫌がるので、「学校のルールなのよ、決まりなのよ」「ルールを守ろうね」と両親揃って繰り返しりーちゃんに言い聞かせていた。その説得の効果があったということなのだろう。りーちゃんは、親の言いつけをちゃんと守っていたのだ。

 

先入観は判断を誤らせるということを、改めて、りーちゃんに教えられたマミとダディ。りーちゃん's ワールドは、我々親たちの学びの日々でもあるのです。