旅行の初日、二日目と何のトラブルもなく、三日目はシュノーケルをしてカメさんに会うことを楽しみにしていた。

しかし明け方4時くらいだったか、りーちゃんが悲しそうな声でダディに語りかけたので、ダディも目を覚ました。「でんき、つかわなくちゃ。まっくら、なっちゃった~」と繰り返しつぶやくりーちゃん。目を開けてみると部屋は確かに真っ暗。小さな間接照明をつけて寝たはずなのに、マミが全部消しちゃったのかな、と思っていたダディ。トイレに向かうと、リビングから「停電みたいなんですよ。トイレはちょっと我満しましょう」との声が。

コンドミニアムのあらゆる電気は消えていて、外を見てもあたりは明かりがほとんどない。冷蔵庫の中の物が心配ではあったが、どうにもできない。スマホの充電を気にしつつニュースを見ると、宮古島全島で停電になっていて、原因は不明なのだという。

宿のトイレは新しい仕様でタンクが見当たらないタイプ(どこかにあったのだろうか…)だったので、プールの水を利用して流すことも難しそうだった。それでも便器に直接水を流し入れることで、なんとかごまかしごまかし使うことにした。スマホの充電は車のエンジンをかければシガーソケットから取れるし、ガソリンはまだたっぷり入っている。また、外にあるシャワーはタンクに水が入っていたのか、水が出たので、その水で洗顔や歯磨きをすることはできた。しかしそのほかの水道は全滅だった。

マミがシュノーケルの会社に電話すると、ツアーの引率者が来られなくなったためキャンセルと言われた。仕方なく他の業者を当たってみると、ツアー実施可能だという。宿からは少し遠い場所だったため、途中の店舗で営業しているところがあれば、水や食料を調達しよう、ということで出発した。

道中はほとんどの信号が消えていて、車はお互いに譲り合いながら運転している。コンビニは2~3軒覗いてみたが、いずれも停電により営業休止の張り紙が。島で唯一のドンキホーテも駐車場に車はなく明らかに閉店中。当然だが、自販機もダメ。これは何も買えないかなぁとあきらめてシュノーケルの店舗に向かうと、周りをサトウキビ畑に囲まれた何もないところにポツンとお店が。通り過ぎようとしたら「営業中」の看板が目に入った。慌てて車を停めるとそこはお弁当屋さんで、食料も水も調達することができた。

お弁当屋さんの人もシュノーケル店舗の人も、こんなことは初めてだと言う。宮古島は台風がよく来るので停電そのものは珍しくないが、台風ならいつ来るかわかるから準備ができる。しかし今回のように何の前触れもなく停電することはほとんどない、とのことだった。沖縄電力による「原因不明」という発表もなんだか気になる。このまま帰りまで停電が続くのではないかと、とても心配になった。

結果的には、シュノーケルを終えて車で帰る途中、ラジオから「復旧しました」との声が聞こえた。これを合図にするように、道路の周辺の店舗は明かりが灯り始めた。我々一行も一安心して、道の駅ならぬ島の駅でランチに宮古そばを食べてお土産を買いこんだ。

それにしても、わずか4日間の旅行で、「こんなこと初めて」という停電に遭遇するとは…。それにしてもりーちゃんは、真っ暗になったことによく気がついたなぁと思う。連日の水遊びで疲れてぐっすり眠っているのかと思っていたが、環境の変化に敏感なのだろうか。

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