突然ですが、ヤシガニを見たことはありますか?

りーちゃんはもちろん、マミもダディも今回の宮古島旅行で初めて見た。夜に行われるヤシガニツアーがあるということで、みんなで参加したのである。

ツアーに行く直前、たまたま立ち寄った居酒屋さんでは、ヤシガニをメニューに載せていた。お店の人がとても大きなヤシガニを見せてくれたが、茹でる前は青っぽい色をしていた。茹でると赤くなるらしい。いわゆる沢蟹のようなもので山の中にいるそうで、今回のツアーも宮古島と橋でつながっている来間島で参加した。

展望台がある公園で、夜ということもあり辺りは真っ暗。りーちゃんを含め参加者は一人一つ、懐中電灯を貸してもらっての参加だった。結構な距離を歩くし、虫はたくさんいるし蚊に刺されるし、暗いし、りーちゃんは大丈夫かな、と思ったが、生き物を探しながらゆっくり歩いていたので、大きく遅れることもなく完走できた。

ツアーを引率してくれたおじさんが見つけたヤシガニは3匹。5匹見つけたかったけどなぁ、と言って悔しがっていたが十分だった。捕まるとヤシガニは泡をたくさん吹いていたが、それを顔の近くに持ってきたり、参加者に持たせてくれたり、サービス満点。参加者からはそのたびに悲鳴のような歓声があがった。

他にもナナフシがいたり、ウシガエルがいたり。うっかりヤドカリを蹴飛ばしてしまうことも一度や二度ではなかった。蜘蛛の巣では巣を揺らして蜘蛛を動かそうとするけどなかなか動かない。「こうやると蜘蛛が来ることになってるんだけどなぁ」と言うおじさん。試しにダディがやってみたらすごい勢いで蜘蛛が向かってきた。

しばらくするとおじさんが、「みなさん、電灯を消して」と言う。そう、蛍がいたのだ。宙を漂う蛍の光に、参加者全員が見入っていた。りーちゃんも見ることができた。きっとりーちゃんの記憶に残ることだろう。

完走できたとはいえ、平たんではない山道。草木も生い茂っていて歩きづらく、りーちゃんは何度も「あああ」とか「ううう」とか、不満の声を挙げていた。蚊に刺されてかゆいのも、不満に拍車をかけていた。それでも見たことのないヤシガニや蛍が現れると、声も出さずに見つめていたから、何か感じるものはあったのだろう。

親として残念だったのは、生き物が好きだったお兄ちゃんを連れて来れなかったこと。そして改めて、こうした自然豊かな土地でりーちゃんと暮らすことができたらなぁ、という思いも抱いた。マミとダディが老後を迎えたら、アリかもしれないね。image