りーちゃんは、自分のしたいことや嫌なことを言葉で説明するのが苦手だ。

語彙数が少ないのもあるが、そもそも3文節以上の文章を構成することが難しいようだ。「今日は、スパゲティよ」とか、「プールで、パチャパチャするよ」という具合に、りーちゃんの発言はだいたい2文節以下である。今日は車でお出かけ、という時でもたいがいは、「今日は、お出かけよ」「今日は、車よ」などとなる。

説明するのが難しいということは、こちらも理解してあげることが難しいということ。2~3年前までは、りーちゃんが何らかの不満を訴えて暴れようとしても、ダディに制圧されていた(抱きかかえられて移動させられていたのです)。逆に言えば、これまでは制圧できるのでりーちゃんの主張を聞いてあげようとしていなかったのだ。制圧が難しくなった今、これは大きな反省点である。

少し前に、朝に着ていく洋服をりーちゃんに選ばせることで揉めなくなった、というお話を書いたが、まさにこれが象徴的。りーちゃんのやりたいことを理解してやらせてあげれば、無用な揉めごとを避けることができるということを、マミもダディも学習しつつある。まさに、急がば回れ、である。ただ、それをもっと前から実践していればよかったな、と思う。

先日も回転寿司に行った際、帰りになかなか席を離れようとしないので、「もうお家に帰るよ」と言って無理やり引きはがそうとしたが、ダメだった。しかしよくよくりーちゃんの声を聞いてみると、「おみず、のみたい!」と言っていたので、そのまま飲ませてみた。そうすると、水を飲んだ後はスムーズに席を離れたのである。

ダディもマミも、これまではりーちゃんのことを、ちょっと誤解していたのかもしれない。りーちゃんは言い出したら聞かないし、行動の切り替えに時間がかかる子だと思っていた。でも実際には、「○○したい」という要求は簡単なものが多くて、それを満たしてあげれば、次の行動にスムーズに動けるのだ。親として、日々勉強ですなぁ。

そしてりーちゃんは時々、こちらが驚くような発言をする。同じくその回転寿司に行った日。りーちゃんが、「だしのブリ」と言ったような気がした。りーちゃんはマグロやサーモンだけではなくブリ(ハマチ)も好きなので、そう聞こえた。しかし実際には、「ダシのプリン」だったのだ。「ダシのプリン?ちゃわんむし?」と聞くと、「うん!」と答えるりーちゃん。早速注文すると、熱い茶碗蒸しに悪戦苦闘しながらも、美味しそうに食べていた。

マミもダディも、りーちゃんが「ダシ」をわかっていること、さらには茶碗蒸しにダシが入っていることを知っていることに、大いに驚いた。親バカながら、「ダシのプリン」という表現が秀逸だと、二人で感心しきりだった。

りーちゃんには、とてつもないポテンシャルがあるのかもしれない。