ほんの2年ほど前まで、りーちゃんはマミやダディが選んだ服を、何の疑問もなく着ていた。そのためダディは自分の好みでもあるアメリカの野球やバスケットの服を購入しては、りーちゃんにせっせと着せていた。
ところがこのところ、りーちゃんは自分で服を選ぶようになった。お兄ちゃんのおさがりも含めれば、スポーティな服は山のようにあるのだが、やはり知り合いのお姉さんにいただいた女の子っぽいおさがりを、好んで着るようになった。そのため朝は、りーちゃんの洋服選びに時間がかかってしまうことも少なくない。
さらにはよく見るYouTubeの影響だろうか、ちょっと露出が多めの服を特に好むようになっている。真冬の寒い時期でも短いスカートや半袖Tシャツを着たがるので、ちょっと困る。朝、その手の服の着用を阻止されたりーちゃんは、夕方の帰宅後に自分で勝手に薄着に着替えていたりする。暖房を入れているとはいえ、風邪をひかないか心配だ。ダディが上着を持ってきて着るように勧めるのだが、かなり抵抗するし、仮に着てくれたとしてもしばらくするといつの間にか脱いでいる。
こうして最近は毎日のように服を巡るバトルが親子間で展開され、学校へ行く時間も以前にも増して遅れがちだ。ただ、考えようによってはりーちゃんの自我が芽生えているとも思われ、自己主張が出てくるのは良いことなのかもしれない。親としても多少学習し、タンスにはできるだけ季節に合った服だけを入れて、「好きなの着ていいよ」と言うように心がけるようになった。そうすると自ら進んで着替えようとするし、機嫌もよろしくて登校もとてもスムースになる。
りーちゃんのおしゃれ心は洋服だけにとどまらず、最近はネイルやメイクにも興味を示している。ネイルはもちろん、お絵かき用のペンを駆使している。ピンクなどの淡い色はツメの上だと目立たないせいか、緑だったり茶色だったり、りーちゃんの芸術センスが小さなツメの上でいかんなく発揮されている。
メイクはマミに隠れて、マミが在宅ワークで忙しくしている隙をついて、マミのお化粧道具を勝手にいじっている。中にはまあまあお高い化粧品もあるのだが、りーちゃんはお構いなし。いつの間にか片目の外側だけ青っぽくなっていたり、鼻の頭が赤くなっていたり、あるいはオデコがキラキラしていたりする。ある日は登校するなり先生に「今日は寒いからお鼻が赤いねぇ」と言われ、「いえ、実はメイクなんです…」と真実をお伝えしたこともあった。
そんなこんなも含めて、りーちゃんの成長であり、成長に必要なことなんだと思いたい、今日この頃のマミとダディです。