こういうニュースを見ると、やはり他人事には思えないし、胸がしめつけられる気持ちになる。

昨年5月のある日、重度の障害を持つ15歳の女性が性的暴行を受けた、というニュース記事を目にした。病院で医師の診断を受け、間違いないという。この方は四肢不自由で知的障害があり、会話はほとんどできない。そのため抵抗もできないし、事件の証言をすることも難しい。

一人で移動することはできないため、当日行った場所は限られ、犯人の可能性がある大人も10人未満に絞られる。それでも当初、警察は被害届を受理せず(のちに受理)、今も捜査はほとんど進展していない。ご両親は自ら、様々な方法で証拠探しなどをなさっている。

ご本人は、会話はほとんどできないといっても、嬉しいことがあれば笑うし、Yes/Noの意思表示もあるとのこと。事件があってからしばらくは泣いてばかりで、体を触られることは親ですらも嫌がっていたそうだ。

こう書いていて、泣けてくる。

りーちゃんは療育手帳を持っており、いろいろな面で経済的な優遇がある。学校でも先生がほぼつきっ切りで面倒を見てくださるし、放課後デイケアでも本人の成長に合わせた様々な活動をしていただいている。本当に本当にありがたい。

日本は、昔は障害者の福祉にあまり熱心ではなかったとも聞くが、今は行政の制度などはとても手厚いと思う。その原資は国民の皆様の税金であり、障害児の親としては本当に、心から感謝、感謝の毎日だ。

その一方で、障害者を標的にした事件は後を絶たない。数年前には障害者施設で多くの人命が奪われるという、痛ましい事件もあった。

少しドライな考え方をすれば、健常者でも障害者でも、性的暴行を受けることはあり得るし、悲惨な事件で命を奪われてしまうこともあり得る。ただ、何かあったときに我々健常者は、抵抗できることはもちろん、少なくとも命を奪われることがなければ、大抵の場合は何があったか話し、説明することができる。しかし障害者の中には、抵抗も説明も難しい方が少なくない。これはまさにハンディキャップだ。それも、とてつもなく大きな。

そのハンディキャップの存在により、障害者は犯罪の標的になりやすい、という側面はどうしてもあるだろう。つまり、性的暴行を受けたり事件に巻き込まれたりする可能性は、障害者の方が高くなってしまう。

上記の記事でも触れられていたが、社会的な制度、例えば「日本版DBS」といった、子どもとかかわる仕事に就く人に性犯罪歴がないことを確認する制度も、今後整備されていくだろう。障害者教育の現場にも導入されるだろうし、そうなればとてもありがたいことだ。

前述したように経済的な面も含め、障害者支援はとても手厚い。それも「日本版DBS」のように、年々新たな制度も創設してくれている。障害者の親として、現状以上に行政にしてほしいことはほとんどない。ただ、いろいろな制度を導入しても、障害者を標的にした犯罪がなくなることは、残念ながらないだろう。個人的には、願うことはただ一つ。

あなたも人、私も人。人として、お互いの尊厳だけは守りましょう。