りーちゃんは一人で外にいてもあまり不安を感じないようで、公園などで遊んでいても少し目を離すと勝手にどこかへ行ってしまう。そのせいか、過去に三度も自宅から脱走している。
三度も脱走させてしまった親もおいおい、しっかりしろよ、と我ながら思うが、さすがに懲りたので今はドアにセンサーをつけている。夜、就寝時にそのセンサーをオンにしておけば、りーちゃんが勝手に脱走した時にアラームが鳴るのだ。ただ不思議なことに、センサーを取り付けて以来、りーちゃんは一度も脱走を試みたことがない。
そもそもりーちゃんは睡眠時間がやや不安定で、早寝しようとしまいと、朝なかなか起きて来なかったり、夜中の3時くらいに起きて勝手に遊んでいたりと、自由自在だ。3時に起きた日はさぞかし寝不足で眠いだろうと思うのだが、学校でも放課後デイケアでも昼寝することなく、帰宅後も元気にダンスしてたりするから不思議だ。
逆に起きない日は本当に起きなくて、週末などでまあいいかと放っておくと、10時を過ぎてもスヤスヤ寝ていたりする。寝だめができるタイプなのだろうか。
さて、脱走が発覚した朝はとにかく慌てる。
ある時はりーちゃんがいないとわかり、マミとダディが手分けして外に探しに行った。事故が心配されるのは近所のバス通りと小川だ。小川は昔は用水路だったようだが、今は公園として整備されていて下まで降りることができる。プールや海など水に入るのが大好きなりーちゃん。心配だ。
この時は携帯で連絡を取りながら探すもなかなか見つからなかったが、しばらくしてようやくマミに発見された。
小川の脇の遊歩道を、アンパンマンの幼児用足けり乗用玩具で暴走していたようだ。少し離れたところでりーちゃんを遠目に発見したマミは、すれ違いざまにお年寄りの夫人が怪訝な顔で、首をかしげながらりーちゃんをのぞき込んでいるのが見えた。
なんとこの時のりーちゃんは、ほぼ下着だけの姿になぜか派手なレッグウォーマーを履いているという奇抜度満点の恰好だった。結構寒い日だったので風邪を心配したが、その後も体調を崩すこともなく元気だった。
別の脱走時には、マミもダディも発見できなかった。捜索活動の後、もしかしたらお巡りさんかマンションのフロントの人などに連れて来られることもあるかと思い、マミだけ自宅に待機することにしたのだが、これがビンゴ。二人のお巡りさんに手をひかれたりーちゃんがほどなくして帰って来た。
今回は前回と異なり、バイク型の足けり乗用玩具で爆走していたようだ。いやいや、玄関先に乗用玩具を置くのやめようよ。なおお巡りさんによると、途中で「おうちかえりた~い」「おうちかえる~」と言っていたらしい。一人で出かけて、多少は不安な気持ちもあったのだろうか。
こうした複数の事件を経て、我が家の足けり乗用玩具には自宅住所が明記されるようになった(いやいや、まだ玄関先に置いてるんかーい!)。また、りーちゃんは毎朝、学校までダディかマミが送っているが、交番の前を通るので、お巡りさんがいたら必ずご挨拶させていただいている。その節は本当に、大変お世話になりました。