我が子に障害がある場合、親として不安になるのはやはり将来のことだろう。だいたいの場合は親の方が先に死んでしまう。残されたこの子はどうなるのだろうか…。
比較的うまくいっている例としては、親の存命中に障害者施設に入居することができて、親亡きあともそこで暮らしていける、というパターンだ。そうした施設に入所している方々のドキュメンタリーを見たこともある。ただ、施設そのものの数は日本全国で決して足りておらず、関西のある施設では入居待機人数が1000人を超えているとのことだった。
親自身が高齢になった時に備えて、高齢者介護と障害者介護がセットになっている施設も、最近はあるらしい。親も障害者本人も、一緒に入居できる施設だ。そんなところに入ることができれば一安心だが、まだまだ数は少ないだろう。
他のドキュメンタリーでは、あるダウン症の方がアートの才能があって個展を開くほどになり、国内のみならず海外でも作品が高額で売れている、という事例も紹介されていた。りーちゃんにそんな才能があればと想像するが、滅多にないことだろう。東北地方にあるその施設では、美術館を併設した施設に障害者の方々が入居して、創作活動をされているようだ。
一人一人の障害者の方にどんな創作活動が合っているのか、長い年月かかってでも探し出して、見つかった活動にそれぞれが一生懸命取り組んでいる、という障害者施設の動画も見た。りーちゃんも通わせたいと思うが、今のところは近所にそうした施設はなさそうだ。
逆にこんな事例も紹介されていた。高齢のお母さんが障害のある息子の面倒を見ていたが、突然死してしまった。息子さんは上記の1000人待ちの関西の施設をたびたび短期で利用しており、緊急性に鑑みて入居してもらうことになった、という例だ。
そのお母さんも必死で何とかしようとしていたのだろうし、情報がなかった、情報にアクセスする手段がなかった、ということもあり得る。頼れる知人がいなかったのかもしれない。非難するつもりは全くない。むしろ自分なら一人でそこまで頑張れるだろうかと思い、敬意を抱いた。
しかし自分自身に置き換えれば、両親の自力ではどうにもならないという状態になる前に、何か手はずを整えておかなければならないと思う。
関西の施設で1000人待ちという事例を紹介したが、政府は障害者施設の数を減らす方向らしい。自宅やグループホームでの生活を推奨していて、地域との交流を重視する方針だと聞いた。確かに理想的な方針だとは思うが、重度の障害者にとっては専門のスタッフがいる障害者施設の方が暮らしやすいかもしれない。
現在、グループホームは比較的軽度の障害者を受け入れていることが多いようだが、将来、障害者施設の代わりとなり得るのだろうか。
無邪気に笑っているりーちゃんを見ながらも、こうした将来の不安は付きまとう。そんなことばかり考えていても楽しくないので、一緒に遊ぶときはダディもマミも思い切り楽しむようにしている。