クロワデュノール
クロワデュノール
三浦カズさんが当時のことをテレビで語っていた
「カズ落選」─サッカーにはそれ程熱は入れ込んでなかった私でもそれは一つの衝撃的なことであった。(何で、それは無いんじゃないの)カズさんと北沢氏の二人は直ちに日本に帰国し、市川さんはチームに帯同した。日本のエースへの非常な通告は日本国内でも賛否が渦巻いた。
岡田監督の弁は、試合を優勢、劣勢様々な場面を想定し使う選手を落とし込んだ時、カズを使う場面がどこにも無かった、というような趣旨だったと思う。フォワードは城を中心に、とも言っていた。
残った22人の顔ぶれをどう見てもカズを外すことの理解に苦しむ。18歳の小野が股下スルーパスを一回見せたからって試合の向きが変わるべくもない。当時カズさんの調子が今ひとつの中、アンチの外せコールはあったと思う。が、それは今の森保ジャパンにおける長友さんと重なるが、森保さんはぶれてない。確かにカズさんは個の強いタレント(才能あるキャラクター)で単純な用兵は難しいかもしれないが、それを使いこなすのがトップを預からものの器量である。大事な舞台に臨んで、長く歩んできた日本の「サッカー道」の中で作戦も大事だが個々の選手の取捨選択を誤ってはいけない。ワールドカップなら尚さらである。残念だが岡田さんには監督の荷は重すぎた。
魂はフランスに置かれたまま
ワールドカップの日本の試合結果は皆さん承知のとおり為す術もなく3戦全敗に終わった。虚しさだけが残る日本の戦いぶりだった。
帰国したカズさんと北沢さんは成田で記者会見に臨んだ。記者の質問は忘れたが落選に対するカズさんのネガティブなコメントを求めていたと思う。カズさんはこう応えた「代表としての誇り、魂みたいなものは向こうに置いてきた」
燦然と輝く日本のサッカー史において岡田監督は取り返しのつかない間違いを犯してしまった。たとえ今から岡田さんが土下座して誤っても何も戻って来ないのである。
レジェンドもいつかユニフォームを脱ぐ日がくるだろう。その時、引退の花道を造ってあげることが出来るのだろうか。
魂はフランスに置かれたままである。
