新国立美術館の「ピカソ meets ポール・スミス ―遊び心の冒険へ」の最終回、今回も写真たっぷりです。
次の展示は「10 戦時中」という、これも珍しい視点ですね。壁は全面黒です。

《帽子をかぶった女の胸像》
映画「サバイビング・ピカソ」(ジェームズ・アイヴォリー監督 1996年)でナチス占領下のパリのピカソが描かれていましたけど、ナチスが言う「退廃芸術」のトップランナーみたいな人ですから、それはもう不自由なうえに憂鬱な日々だったのですが、それが絵にも表れています。色は黒やグレーが多く、メタモルフォーゼも1930年代の自由奔放な激しさはなく、重苦しいです。

《座る女》
「ストライプ」の女性の肖像と比べると色が単調で、顔も単純に二つに引き裂かれているように感じます。ピカソ流の抵抗なんでしょうか。

《ロブスターを持つ少年》
これも「子供時代」の絵のカラフルさはないですね。着ているものは服というより半透明な袋みたいで異様です。

《室内のフクロウ》
フクロウがとまっているのは槍でしょうか、狭い室内に低くて黒い天井が息苦しさを感じます。
次の「11 一点もの」は最初の「トロンプ・レスプリ」みたいな展示です。
三方の壁には皿がびっしり並べて張り付けられています。左右の壁は全部白い皿で正面だけ中心に作品が。

普通はガラスケースに入れるなどして、普通に置いた状態で展示するのですが、なぜ壁に? 大量の白い皿が意図不明です。
次の「12 《草上の昼食》」は壁が緑で、

一面の壁いっぱいにマネのスキャンダラスな《草上の昼食》が描かれています。1950年代からピカソは《ラス・メニーナス》など西洋絵画の名作の再解釈的ヴァリエーションを行っていたそうで、ここの展示は1960年~1963年の《草上の昼食》のヴァリエーションです。

《草上の昼食(マネに基づく)》
こういう事をやっていたこと自体全然知らなかった、かなり意外でレアな展示です。
これは今回展示されている中では一番早くに描かれたもの。

《草上の昼食(マネに基づく)》
元の絵のキーの一つ、こちらを見ているヌードの女性がここでは顔を伏せています。

《草上の昼食(マネに基づく)》
全員裸(?)のヴァージョン、マネが全員ヌードで描いてたらどうなったかな。

《マネの《草上の昼食》の変奏》
人体を解体し尽くして、ほとんど模様になってます。もう晩年と言っていい歳のはずなのに、まだ次々と試行錯誤していたのですね。

《草上の朝食:片腕に寄りかかり座る男》
こんなものまで作っていた、これは笑っちゃいました。
次の展示は、えっ?

ピカソというと奥に見えるボーダーシャツ着た姿のイメージがありますよね、「13 ピカソのボーダーシャツ」はそこからの発想らしいのですが、白い皿と言い、吊るされているこの大量のシャツと言い、意図が全然わかりません。
一応、作品も2点展示されてます。

《喫煙者Ⅱ》

《縞模様のセーターを着た男の胸像が装飾された窯の仕切り》
なるほどボーダーシャツだ、ってどんなチョイスだよ!
最後の展示まで行ってから「ストライプ」あたりをもう一度見ようとしてこの展示室を通ったら、見た目全く同じのボーダーシャツ着た二人の男性が吊るされたシャツの下に並んで立っていてビックリ! 吹き出しそうだった。この二人は知り合いでもなんでもないようで、すぐに別々に。私が見た瞬間は偶然だったようですが、すごい偶然だ。
次は「14 晩年:1969-1972」で老いてもなお旺盛に創作していた時期の作品です。

《座る老いた男》
壁の線は何でしょう? この展示室も3面の壁に1点ずつの展示で、どうしても展示数の少なさをごまかしてるとしか思えません。

《家族》

《女の半身像》
まあ確かに横線は描かれていますが、、、
最後は「15 展覧会のピカソ」で、四方の壁いっぱいに過去のピカソ展のポスター。

《ポンポン帽子と柄ブラウスを着た女の肖像》
ここの展示作品は過去にピカソ展でポスターに使われたもののようです。写真中央の作品を使ったポスターが右上端に。
作品のすぐ右上のポスターの元ネタは

《女の頭部 No.3 ドラ・マールの肖像》
この作品です。年代でも子供など描く対象でもないチョイス、最後まで意外な展示です。

《クラーナハ(子)に基づく若い女の肖像Ⅱ》
気づいたら絵をじっくり見るよりポスター探ししてました。あはは、、、
私は意外な発見などかなりありましたけど、ピカソ展初めてという人にはこの展覧会はあまりお勧めできませんね。行くなら事前に書店などで画集見て、この展覧会で「こんな視点もある」を体験するのがいいと思います。