前回に続き、エリザベートコンクールに関してです。
さて、今回の本選出場者は名前から見て、東洋人系の方が半数位という所です。
日本の方の名前もお一人・・・
先日、主人がテレビをつけた折に、たまたまこの日本人の方の
パガニーニ、コンチェルトの演奏に行き当りました。
私はイタリア語のテスト勉強中だったのですが、
一度テレビの音を聴いてからは、耳がどうしてもそちらに行ってしまうのでした。
以前に、ヨーロッパ人から見た日本人の演奏は禅の世界、茶の席を思い浮かべる
という批評を耳にした事がありましたが、
この方の演奏を聴いて、この表現の意味が、私の中で明確になったような具合です。
この至難の技を要求されるパガニーニのコンチェルトを、
外観は”静”の状態、、全てのドラマは内面で処理されていらして、
主人も私も息を呑んで、見守ったという感触でした。
主人はこの方のセミファイナルのモーツアルトをたまたま、車を運転中にラジオで聴き、
美しい輪郭のハッキリした演奏で、確実に本選に残るのでは、と言っていたのです。
やはり、本選に進まれたのだなと思って最後まで聴いていたわけですが、
演奏後のテレビのゲスト達の間で繰り広げられる批評に、またまた、コンクール観戦、
のイメージが蘇ってきたのでした。
情熱が迸るという演奏ではないにしろ、内面の動きも十分に感じられたのですが、
冷めている、技術的には大体完璧だったが・・・と片付けられると、
聴衆としての感じ方、又演奏者としての表現の仕方にも違いがあって、
そこが面白いのに、などと反発したくなってしまう訳です。
万人に受け入れられる演奏というのは不可能な訳ですし、このような時に私はいつも、
金子みすずの詩の一部、「みんなちがってみんないい」を思い出してしまいます。
本選は一晩に二人づつの演奏で、月曜から土曜までの毎晩行われ、
二千人以上収容可能なホールは毎回、満席に近く
貴賓席には毎夜王室の方々のお姿も・・・
偉大なベルギー人ヴァイオリニスト、作曲家のイザイに因み、
1937年にイザイ国際コンクールとして創設された後、
戦後1951年より、クイーンエリザベートコンクールとして、再開されたのですが、
このエリザベート王妃は芸術愛好家でいらして、イザイとも親交があり、
様々な芸術、芸術家の援助にも身を捧げられたそうです。
この王妃の名に因んだ音楽寮 ”シャペル” も、
若い音楽家のための教育機関としてベルギーに存在しますし、
毎回エリザベートコンクールにも、このシャペルからの出場者も出る訳です。
この制度については又別の次回にでも記事にしてみます。
さて今回の本選出場者の中に特筆すべき方がいらっしゃいまして・・・
中国系アメリカ人の1993年生まれの女性ですが、
ハーバード大学で医学部2年生として、勉強される傍ら、
このコンクールに参加されているという事なのです。
たまたま昨日彼女のインタビューを聞いたのですが、
「ヴァイオリンの他にピアノとチェロも演奏するが、
将来、医学の方に進むか、音楽の方かまだ分からない」
と言われておりました!
この世の中にはこんなにフルに能力を発揮できる方が存在するのですね。
たまたま娘と同年齢ですし、彼女にもこの旨伝えておきました。
「へえ~」程度の感想でしたけれども。