先日、2年前まで住んでいた、ブリュッセルの昔の住居近辺に立ち寄りました。この住居から100m程の所には、私の母が将来のため、と購入していた家もありました。
私達が現在の家に引っ越す事に決まった後、この母用の家の処分はどうしようかという事になりまして、
私の母は近い将来、こちらで私達と一緒に暮らす希望です。そこで、現在の住居を探す時点でも、一応彼女が暮らせるスペースは、頭に入れておりました。という事は、このブリュッセルの母のための家は、余ってしまう訳です。
この頃、自然に囲まれ独り暮らしを続けていた義父も、彼の家を売りに出したいと言っておりました。モダンな設備も無く、独りには広すぎる家で、その年の厳しい冬を越すのは、誰の目から見ても、無理な仕業でした。
そこで色々相談の結果、ブリュッセルの私の母用に在った家に、義父が移る事になったのでした。生涯、自然が友達で過ごしてきた彼でしたので、こんな街中の生活に慣れるかどうか、皆心配しましたが、家から徒歩で買い物にも行け、とても便利だと、今では喜んでおります。
義父は以前の家では、パン一斤買うにも車を使用しなければならず、道路が凍結でもすると、家に殆ど何も無い状態に陥ったりと、田舎暮らしの苦い経験もあるのです。
この日私達は、義父と一緒に外出の予定で、彼の所まで迎えに行ったのでした。
主人の車から降りると、あのスペイン人の親父さんが、(関連記事はこちらから )ゆったりとお散歩中。何しろ話好きですから、捉ってしまうと、切り上げるのが大変。そのせいで主人は足早に、
「やあ、元気?スペインにはいつ帰るの?」
と言いながら、自分の父親の家に消えてしまいました。そこに残された私は少しの間、おしゃべりのお相手を(´_`。)
こちらに住んでいて気が付いたのですが、近所付き合い等で、男性同士の”おしゃべり、井戸端会議”的な物が、日本よりもずっと多そうです。特にブリュッセルに居た頃は、いわゆる近所の方方の家族、喧嘩、悩み、噂などについて、良く主人から聞いたものです。
家の主人は近所の方との談話は裂けて通りたい方ですから、この彼の耳にも入る位という事は、他の男性陣はどの様なのかしら、と考えたほどです。
さて、スペイン人の親父さんのおしゃべりが始まりました。
「娘さんはどう? 大きくなったでしょう?」
「家の子供は皆、やはり背が高くてね~」
「どうしてだか分かる? 僕なんか若かった頃は結構、肉体労働をしたものさ。(親父さんは65歳ぐらいでしょうか) 今の若者は肉体労働も無く、好きな物を食べてばかりいて、あんなに大きくなれるのさ」
「ところで貴方のお義父さん、引っ越してきた頃はヨボヨボで、歩くのも辛そうだったけれど、この頃、調子よさそうだね」
「この頃は良く一人でも散歩に出ているみたいだよ」
「あ、糖尿病なの。じゃあ、僕と一緒だ。いっぱい歩かなきゃね。」
「彼は薬で抑えているの? あ、僕もそうさ」
「僕の隣の住人ね、引っ越したんだよ。あの金髪マダムは口うるさかったから丁度良いけどね」
「いつも家事の音がうるさいとか言われてたけれど、僕からは文句は言ったことなかったのさ」
「でも越してから、一回旦那さんの方に、その事伝えておいたけれどね~」
「この頃良く人に、退職後はスペインに永住しないの?とか聞かれるけれど、あ、貴方はどう? 日本に帰り向こうで、余生を送りたい?」
「僕はね、今じゃ、もうベルギーの方が過ごし易いんだよ。」
「スペインは夏なんか、40度まで上がるしね。若い内は耐えられるけれど、もう今は駄目さ」
「例えば、貴方のお義父さんなんか、40度の所に置かれたら、一日で死んでしまうよ」
とうとう、私の義父まで消されてしまいましたよ~(@_@)
こんな感じで10分位続いた所で、やっと主人と義父が家から出て来てくれました。
今度は義父に向かって、
「あ、糖尿なんだって? 毎日10kM走れば、薬もいらないそうだよ」
主人が、
「じゃあ、二人で明日から走ったら?」
スペイン人の親父さん
「ん~・・・」
ここで私達はすかさず、
「では、又今度ね。お元気で」
やっと解放されました。
でも考えてみれば、この界隈で車の事故などあると、真っ先に現れ、証人などにもなっていた彼でした。
「この界隈の警察官」と呼ばれるほどに、何でも事件があると率先して取り仕切っていましたし。
本当に、人とのコミュニケーション無しには、人生が成り立たない様な感じの、彼なのでしょうね。
離れて見てみると、避けて通る程の事でもない様な気がしてきました。ただ、その場では、早く離れる理由をどうしても、探してしまうのですが・・・