刑法


基本書

総論

・大谷實「刑法講義総論[新版第3版]」(成文堂)

2色刷りでみやすいが、旧司の本というイメージが強く、山口先生、高橋先生等の本が人気な昨今ではもう流行らないのでは?


・山口厚「刑法総論[第2版]」(有斐閣)

予備校思考から抜けたいと思い読み始めた一冊。現在刑法会一の頭の良さと称されるだけあり、論理は秀逸.。理論だけでなく判例もしっかり引用し、判例理解もおろそかにしていません。ただ、よく言われるように文章は難しいと思う。しかし、書いてあることがどういうことか自分の言葉でちゃんと説明できるかを基準にじっくり噛み砕いていけば、吸収もよくなります。読むのに多少時間はかかるかもしれないが「急がば回れ」というように、それが理解への近道な気がします(まあ、全ての読みものに共通するとは思いますが)。

作為義務、原因においてい自由な行為、過失の共同正犯あたりは難しい。特に原因において自由な行為。

共犯理論はかなりわかりやすく、かなりお勧めです。

それと、未遂と中止犯の区別で、具体的危険説を批判し独自説を唱えているが、これはすごいと思った。

更に詳しくはコチラの記事

判例との整合性がとりにくいと当初は思っていたが、よく読めば山口先生の視点が結局は判例理解に役立つというところが多かったと、ローで勉強してから感じた。


各論

・大谷實「刑法講義各論[新版第3版]」(成文堂)

総論に同じ


・山口厚「刑法各論[第2版]」(有斐閣)

600ページ以上ある・・・厚い。辞書ですね。結局3/4くらいは読んだと思う。

個人的には法益関係的錯誤に突っ込もうとして失敗した感がある。


判例集

・前田雅英「最新重要判例250」(弘文堂)

刑法の判例をまんべんなく勉強するのに適した一冊。古い重要判例から最新の判例までバッチリおさえられます。これを読み込み慶應択一9/10とれました。短答用に広く浅くやるのに適切。じっくり読むのには山口・基本判例に学ぶの方がベターだと思う。

司法試験の短答対策でロー受験以来2年ぶりに読んだ。やっぱこれ使えるわ。


・山口厚「基本判例に学ぶ刑法総論」(成文堂)

山口ユーザーなら必要かと思い購入。択一対策のためにまんべんなく勉強したい方にはこちらではなく上の前田先生のをお勧めします。

解説が秀逸すぎる。判例を客観的に解説しているので決して結果無価値に寄っているということはない。

刑法の本では各論とあわせて一番のおすすめ。

各論とあわせて刑法で1番勉強になったと思う。


・山口厚「基本判例に学ぶ刑法各論」(成文堂)

総論と同じく素晴らしい。


・山口厚「新判例から見た刑法 第2版(法学教室Library)」(有斐閣)

読めたら読んだほうがいい気がします。

新しめの重要判例について詳しく解説されており、特に判例の射程に関する見解は役に立ちますね。

必要なところだけ読めばそんな時間はかからないと思うのでぜひ。


・西田・山口・佐伯「判例刑法総論 第5版」(有斐閣)

ローの授業で指定教材。特に判例の数が多い。ただひたすら多い。判例の事実・要旨が短くまとめられていて解説はない。憲法の戸松・初宿「憲法判例」みたいなものです。


・西田・山口・佐伯「判例刑法各論 第5版」(有斐閣)

総論に同じ。



その他

植村立郎・小林充「刑事実認定重要判決50(上・下)」(立花書店)

その名の通り事実認定の仕方を判例にそって説明するものです。重要と思われるところは大体読んだ感じだと、絶対読まなきゃいけないと本というわけではない。試験的には細かすぎるので、理解を深めたいときとか、レポートで細かく調べたいときとかに使えばいいかと。とはいうものの読んだ方がいいところもありますよね。


伊田良・田口守一・植村立郎・河村博「事例研究 刑事法 I 刑法」(日本評論社)
具体的な事実認定の仕方が大変勉強になる本です。

非常に信頼を置いている本です。


・島田聡一郎・小林憲太郎「事例から刑法を考える 第2版 (法学教室ライブラリィ)」

人気の事例演習教材。全部は解いていないが、非常に勉強になる。内容は難しい。解説も難しいものがある。学説の紹介が長いことがよくあるので、そいつとどれだけ付き合うかがポイントかも。自分は早く進めたいので、あまり付き合わないようにしている。

一応模解みたいなものもついている。これしか書かないでいいのかと思うこともよくある。そこは新司の優秀答案と照らし合わせて自分で判断すべきところだろう。

これを解きつつ、山口基本書、山口判例集を読み、たまに事例研究で具体的な事実認定の仕方を深めに見るという勉強方法で力が付いた気がします。