今日の書道教室で、


とてもおとなしい五年生のAちゃんが、急に泣き始めた。


最初は静かに泣いていたが、そのうちしゃくりあげて泣く。

不織布のマクスが、息を詰まらせ顔を真っ赤にして。




「どうした、どうした、何があった。

苦しいからマスクをおとり」




マスクも外さず、泣き止まず。


書き上げた作品は、涙で滲んでしまった。





夜になって、お母さんからLINEがきた。




自分の字が納得出来なくて、悔しかったと言う。





うんうん、それはわかっていたよ。でもね、本当はちょっと違う。





となりに座っていたBちゃん。生まれた頃からの幼馴染で、いつも一緒の彼女。



まるで、出来杉くん。




書道を書かせれば、唸るほど上手く、
顔は美人で成績優秀。おまけに優しくて
クラスのリーダー。





となりにいたら、いやでも比べてしまう。


Aちゃんは、決して書道も下手ではない。


となりのBちゃんがうますぎて、自分が下手に見えたんだよ。






いつもいつも、そうやって、大人がBちゃんの凄さに驚くたびに、



Aちゃんは、自分が否定された気持ちになって苦しいんだろうな。





でもね、Bちゃんが上手いのは仕方ない。










簡単だよ、Aちゃん。




Bちゃんの10倍練習すれば良いだけ。



努力だけは、すべての人に許された権利だよ。