うちには、鶏がいる。
もう、飼い始めて2回目の冬を越えた。
朝、小屋の鍵を開けると、喜んで飛び出してくる。
米糠と籾殻を発酵させた餌に、米粒、くん炭、牡蠣殻を加えて、
味噌汁の出汁に使った煮干しと、味噌汁の麹かす、葉野菜、あとは、野菜や果物のはし切れをやる。
人工の配合飼料ではないので、
人間と同じでいろんなものを食べて、
栄養素をまかなう。
はじめは、庭に囲いをしてあったけど、もう、意味をなしていなくて
日中は、自由自在に歩き回っていて、
郵便屋さんや宅配員さんとも慣れた仲だ。
あまり闇雲に遠くへは行かず、家の周りをウロウロして、
夕方には、小屋に帰ってくるので、さらに餌をやって、扉の鍵をしめる。
我が家は山にあるので、獣も多い。
ことにキツネは獰猛で見つかったらひとたまりもない。
毎夜、小屋の前までキツネはやってきては帰って行った足跡が、雪の上に残されている。
危険だから、小屋から出さない方がいいと言う人もいる。
けど、危険だから、閉じ込めた一生よりも
危険でも、自由に生きる生涯もある。
私は後者を選ぶ。
そして、神様がいるなら、きっと
私たちに危険で自由な人生をくれたはず。
あとは、そのことに気づくかどうかだけ。
私は私である。
私はあなたでもある。