電車の中で高校時代の同級生に声をかけられた。
「久しぶりやな、20年以上会ってないんちゃうん、何しとるん?確か○○大学行ったんやんな?バリバリ働いとんちゃうん?」
近くにいるな、と気づいてはいたが、あいにく電車が混雑していて距離を開けられなかった。

高校時代は先生からも名前で呼ばれず「アトピー」と呼ばれていたほどアトピーがひどい時だった。
近づくと伝染する、とほとんどの男子は私のそばを通るときに息を止め、すれ違った後「ほんまきしょいねん。歩くな」と言うのだった。
毎日毎日それを、同級生のみならず下級生にもやられているうちに感覚がおかしくなってきて、「私がいなければ周りの人たちは快適に暮らせるのだ」と思うようになっていった。その思いは年々強くなっていく。

そういうことをしていた人間がなぜ私に声をかけるのか。自分のしたことを覚えてはいないだろう。
それにしても。
過去に○○大学に行っていたことは事実だけど、もうそんなこと消してしまいたいのだ。過去を偽りたいとかではなく、ここまでの道のりのようなものを全て断ち切り、なかったことにしたい。関わった人たちの記憶からも抹殺して欲しい。
生きていきたい人だけ生きてればいいのだ。私はもう棄権したい。