可愛かずみさんの写真集を何とか買い集めてきて、あとは「光の中の少女」という超プレミアつきの1冊だけになった。ヤフオクに10,000円~20,000円くらいで出品されているもので、私の中の予算ではとうてい入札できるお値段ではなく…

私は大手古本チェーン店をうろうろすることが好きで、特に買いたいものがなくても気晴らしに足を向けることがある。今年のように暑いと涼みがてら本の背表紙を眺めて、買いたいと思いつつ買えなかった本を見つけたりして小さな喜びに浸ったりしている。
そこでは以前かずみさんの「ふり向かないで」を500円で売っていた。査定の基準がある程度マニュアル化されているとこうなるのだな…と思った。

その店舗に今日もふらりと寄ってみた。写真集のコーナーに向かっていると、50歳代の男性と30歳前後の男性が着いてきた。「か行」から見て、他のところに間違ってしまわれていることもあるので丹念に見ていった。
30歳前後の男性が私の横に来て「あ行」の棚を眺め、50歳代の男性は私の斜め後ろくらいのところに立っていた。
なんと、奇跡的に「ま行」のところに「光の中の少女」が紛れていた。しかも1,200円。ヤフオクの10分の1のお値段だ。めっちゃラッキー!と思ったその時。
横に来ていた30歳前後の男性が私の手から「光の中の少女」をひったくろうとした。慌てて私も力を入れ直したので、引っ張り合いの状態になった。「私の方が先に手にしたんです」と言おうとしたら、30歳前後の男性が奇声を上げ始め、足を踏み鳴らし始めた。発達遅滞か何かの障がいがあるようだった。
斜め後ろくらいにいた50歳代の男性が私に向かって「あんたが先に持ったかもしれんけど、こんな障がいがある子から取り上げてでも買うつもりか?それはしたらあかんのとちゃうか?それで嬉しいか?」と言い放つ。そうこうしている間に足を踏み鳴らしていた30歳前後の男性は涎をたらし、ますますうなり声が大きくなってきた。店員さんを巻き込んでまでどうこうする気はすっかり失せていたので、諦めて手を離した。50歳代の男性はレジから離れたベンチに座りに行ったようだった。30歳前後の男性は精算し、出口に向かって行った。
もう買い物をする気が失せ、私も店を出ることにした。
駐車場を横切ろうとした時、あの2人の男性が自動販売機のところで並んでジュースを飲んでいた。
50歳代の男性が放った一言に衝撃を受けた。

「今日も上手にできたなあ。またお父ちゃんが狙ってるもん買おうとしてる人がおったら今日みたいにしてや」
「あー、あー」

親子でグルだったのだ。写真集の棚のところに私しかいなかったので「計画通り」にことを進められたのだろう。
なんか腹立たしいというか悲しいというか…
自分で堂々と見に来ればいいのに、こう言ってはなんだが障がいがある息子をダシにするなんて…
50歳代の男性はかずみさんと同世代のはず。それこそ、そんなやり方で買った写真集を見て平気なんだろうか…