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バイオレンスにまみれた雑司ヶ谷から、今度は粘膜である、蜥蜴である。爬虫類は苦手だっていうのに、もう。
かの衝撃のエログロ・ホラー『粘膜人間』に続く飴村行・第2弾『粘膜蜥蜴』。

『粘膜人間』でもそうだったのだが、バイオレンスシーンにおいて飴村行は、これでよしというところから、あと一歩、さらにあと半歩と、登場人物たちを痛めつけてしまう(挙げ句の果ては殺してしまう)。まったく情け容赦ない。
今回も冒頭勢い余って殺してしまう。しかも殺されたのは国民学校初等科というからまだほんの子供。トホホである。別名つかみはオッケーである。

そもそも主役である月ノ森雪麻呂がまだ国民学校初等科なのだが、もはや子供を超えて人間離れしている設定で、まずはそこで唖然とさせられる。面白くするためには現実から乖離してもかまわない、ホラーはその点であまり迷わないジャンルだが、飴村行も躊躇なしだ。
前作と同様、日本の戦争時代の話なのだが、時代考証の正確性などもとりあえず二の次。飴村行のアタマのなかで、こうであるべし、という設定なのだ。

前作と異なるのは、今回は国内と(もちろん架空の)ナムール国のふたつの場所が舞台となっているということだ。なぜナムール国なのかというと、登場人物たちを酷暑の熱帯の国において行軍させ、銃弾を浴びせ、存分に育つだけ育った、誰も見たことのない巨大な生物に襲わせるためである。頭部が蜥蜴の爬虫人の古里も必要だったからである。またしてもトホホである。

人間も怖いが、今回は未知の生物も怖い。合わせ技なのだ。いや、爬虫人も怖いから、トリプルだ。
その爬虫人だが、そもそも雪麻呂の下男が爬虫人の富蔵である。日本人以上に日本人っぽい性格で(だから怖くはないのだが)、下男としての忠実さの反面、ナチュラルにトボけてもいて、この物語に潤いをもたらす。雪麻呂への懸命な奉仕ぶりは爬虫人ながら健気としかいいようのないほどであり、富蔵こそが影の主役だ。

さらに『粘膜蜥蜴』においては、重要な秘密が最後まで読者に伏されている。これは前作にはなかった周到な仕掛けだ。気付くのはちょっとムリかも。だから最後にびっくりするしかない。乞うご期待です。そしてここに至って、人間の真情がほとばしってしまうのだけど、これもまた飴村行の持ち味。怖がらせて笑わせて最後に意外な読後感も味わえる、エンターテイメントぎっしりの「粘膜」第2弾だ。 (BJ塚本)

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